ジャンボニンニク「吉野ガーリック」。通常のニンニクに比べて5~6倍ほどの大きさがある

ジャンボニンニク「吉野ガーリック」の仕分け作業を行う松本茂さん=神埼郡吉野ヶ里町

 普段目にするニンニクの5~6倍、タマネギほどの大きさがあるジャンボニンニク。西洋ネギ「リーキ」の仲間で、ニンニク独特のにおいが少ないのが特徴だ。加熱した時のほくほく感はイモ、薄切りにしたシャキシャキとした食感はタマネギに近い。

 国の特別史跡に指定されている“弥生のクニ”吉野ケ里遺跡がある佐賀県吉野ヶ里町。化学肥料や農薬を使わないジャンボニンニクを、地名にちなんで「吉野ガーリック」と名付け、ブランド化している。同町三津(旧東脊振村)の松本農園が生産し、町内の道の駅吉野ケ里「さざんか千坊館」で販売している。

 「実は父も私もニンニクが苦手なんです」。生産者の松本茂代表(65)は申し訳なさそうに笑った。イチゴ狩りなどを行う観光農園を営んでおり、ジャンボニンニクは約35年前、モグラよけとして畑の周りに植え始めた。食べることもなく、株は増えていくばかりだった。

 これに「珍しい」と目を付けたのは町の職員だった。吉野ヶ里町は2006年、旧三田川町と旧東脊振村が合併して誕生した。町は当時、PRできる新たな特産品を探していた。翌年、町内の農家で「にんにく部会」を結成、ブランド化の取り組みが始まった。

 「ただのジャンボニンニクではなく、誰にも作れないものを」。化学肥料、農薬が混じっていない土を探し求め、耕作放棄地を活用した。ビニールハウス内の気温や湿度を、ニンニクの原産地である地中海沿岸の気象条件に近づけ、ミネラルなど土に含まれる成分や有機肥料をまくタイミングを調整している。

 5月末から6月にかけて収穫し、1カ月半ほど乾燥させる。雨に当たらないように、暑さでニンニクが煮えてしまわないようにと細心の注意を払う。

 大きなもので1キロにもなる吉野ガーリック。ジャガイモやタマネギの代用品として、コロッケやカレーに加えたり、ドレッシングや野菜炒めに使ったりできる。ラップに包んで温めて、塩こしょうをかけるだけで、ちょっとしたおつまみとしても楽しめる。

 無農薬などの基準が厳しいことや農家の高齢化もあり、現在生産しているのは松本さんだけ。それでも「死ぬまで農家1年生」と語り、試行錯誤を繰り返しながらブランドを守り続けている。

文・西浦 福紗

写真・山田宏一郎

(佐賀新聞社)

 ■トピックス 吉野ケ里歴史公園

 吉野ケ里歴史公園は、吉野ヶ里町と神埼市にまたがる。吉野ケ里遺跡や発掘物の展示、体験活動などを行っており、歴史学習や観光を目的に県外からも多くの人が訪れる。近年は大型複合遊具やバーベキュー設備が人気で利用客も増えている。中学生まで入園無料。

 吉野ケ里遺跡は、弥生時代最大規模の環濠(かんごう)集落。園内には竪穴住居や物見やぐら、高床倉庫、墳丘墓などが復元されている。弥生時代に生えていたとされる植物も可能な限り植えてあり「弥生の風」を感じさせる。

 21日からは、陸上・海上交通の要衝だった豊前地域に焦点を当て、吉野ケ里遺跡との関係を探る企画展「よみがえる邪馬台国」が開催される。11月10日までで観覧無料(入園料など別途必要)。問い合わせは同公園、電話0952(55)9333。

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