消費税率が8%から10%に上がるまで残り約2週間、官民ともに準備を万全にして10月1日を迎えたい。1989年に導入されて以来、3回目の税率引き上げで、初めて軽減税率が適用されるほか、キャッシュレス決済を対象にポイントを還元する。

 いずれも増税による負担を少なくするためだが、制度が複雑になっているため店頭でのトラブルも予想される。また、帳簿の記帳など納税申告手続きなどでも、新たな対応が必要になるケースもあるだろう。

 政府は消費者向けの広報を充実させるなど混乱を回避するために全力を尽くすべきだ。民間企業も、消費者に自社の対応方針を周知するなど取り組みを強化したい。

 財政再建と社会保障制度の安定のために国民全体で痛みを分かち合う増税だ。円滑なスタートを切ることが、今後、建設的な財政再建論議を進める前提になるだろう。

 軽減税率は家計の負担を少なくする目的で、飲食品の税率を現在と同じ8%に据え置く。だが、同じ飲食品でも、店内で食べれば税率は10%になる。

 食料品店などで夕食の材料などを買い求める場合は問題は特にないだろうが、持ち帰りもできるコーヒーショップ、ハンバーガーチェーン、牛丼店などでは、悩む消費者も出てこよう。同じ商品でも店内で食べると価格が上がる状況に対し、どう対応するかは対応は分かれた。

 本体価格を下げることによって、店内飲食と持ち帰りの税込み価格を統一したのは、日本マクドナルドだ。分かりやすさと利便性を重視したという。牛丼のすき家と松屋、ケンタッキーフライドチキンも価格を統一した。一方、モスバーガー、ロッテリア、吉野家やスターバックスコーヒー、ドトールコーヒーは税込み価格が異なる。

 本体価格を下げればその分、利益が圧迫されるが、店内飲食をしたい消費者にとってみれば、持ち帰りと同じ価格であるため、これまでと同様に気軽に利用できる。営業戦略上、店内飲食を重視するかどうかで各社の対応が分かれたのだろう。

 ポイント還元は、消費の落ち込みを防ぐために、中小事業者の店舗で、クレジットカードなどを利用してキャッシュレス決済をした場合、最大5%のポイントを消費者に還元する。中小企業支援とキャッシュレス決済の普及という狙いもある。

 政府は消費税増税対策の目玉として打ち出したが、対象とされる約200万の中小事業者のうち、ポイント還元を導入するのは3割の約60万店にとどまっている。レジの改修が間に合わないなどの理由から、牛丼大手など参加をしない企業が多い。

 やっかいなのは同じ店でも、フランチャイズ店と直営店で対応が分かれるケースがあることだ。マクドナルドでポイント還元を実施するのはフランチャイズ店で、直営店はしない。

 システム対応の手間や国が直営店のポイント原資を負担しないことなどが背景にありそうだが、一方で、コンビニ大手3社は直営店のポイント原資を自社が負担することによって全店で還元を実施する。ポイント還元を巡る誤解は避けたい。あまり時間は残っていないが、各店舗は最後まで準備を尽くし、丁寧な説明を心がけてほしい。(共同通信・高山一郎)

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