二審福岡高裁判決破棄差し戻しの幕を手にする漁業者ら=最高裁前

 判決骨子

 長崎・諫早湾干拓地

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)を巡り、潮受け堤防排水門の開門を命じる確定判決でその義務を負った国が、強制しないよう求めた請求異議訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷は13日、確定判決を事実上無効にした二審判決を破棄し、審理を福岡高裁に差し戻した。一連の訴訟で「開門命令」と「開門禁止」の相反する司法判断が並立するねじれ状態が継続することになり、法廷闘争は長期化も予想される。

 菅野博之裁判長は判決理由で、2010年の確定判決時からの事情の変化によって開門請求が権利の乱用に当たるかなどの争点を示して審理を尽くすよう求めた。補足意見では、「3年以内に5年間の開門」とした確定判決は不確実な将来予測に基づき期間も限定していることを挙げ、「その特殊性を十分踏まえて適否を検討するべき」と言及し、今後の「開門無効化」の可能性を示唆した。

 国は、確定判決の勝訴原告の漁業者に対する間接強制金(制裁金)の支払いを免れるために請求異議の訴えを起こしている。福岡高裁判決は、漁業者の開門請求権の前提となる漁業権が13年8月で期限を過ぎたことを示し、「期間の経過で漁業権が消滅し、開門請求権も消滅した」と判断した。国側敗訴の一審佐賀地裁判決を取り消し、国の請求を認めた。

 上告審判決は、確定判決は期限後に与えられる漁業権が期限前と同一であることを前提に判断しているとして「漁業権に基づく開門請求権も認容したと理解するのが相当で、(二審判決は)明らかな法令違反がある」と指摘した。判決は裁判官4人の全員一致の結論。上告審は二審の結論を見直す際に必要な手続きの弁論を開いていた。

 開門問題では、開門に反対する干拓地の営農者らが起こした訴訟で差し止めを認める長崎地裁判決も確定していて、6月には開門を認めない判決が最高裁で初めて確定した。一連の訴訟で国は、開門しないことを前提に100億円規模の漁業振興金の創設による和解によって問題解決を図る方針を示している。

 福岡高裁の差し戻し控訴審では、二審判決を出した民事部とは異なる民事部で審理が行われる。

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