精神科医の訪問診療の意義を語る谷口研一朗さん=佐賀市のアバンセ

 佐賀県内で数少ない精神科の訪問診療を行う谷口研一朗さん(49)=佐賀市のさが恵比須メンタルくりにっく院長=が8日、佐賀市のアバンセで講演した。患者の変化に気付きやすく早めのケアにつながりやすい訪問診療の特長を紹介。通院できず苦しむ当事者、家族の支援につながる点を強調した。

 谷口さんは勤務医時代から15年間、訪問診療に携わり、2015年に佐賀市川副町に診療所を開設、18年に同市鍋島町に移転した。講演では、訪問看護ステーションと連携して15年から始めた在宅ケア活動「SAGA ACT」について説明。統合失調症などに悩む若者や高齢者宅を訪ね、信頼関係を構築しながら治療した事例を紹介した。

 当初は治療を拒んでいた当事者が困り事を相談したいと思うようになるタイミングがあるとし、「その変化に訪問診療は気付きやすい。早期介入は長期入院を防ぐことにつながる。生活の場を見ると幻覚や妄想が起きた理由が分かり、環境の改善で症状が軽くなったケースがある」と解説した。

 訪問診療の意義について「パニック障害で公共交通が使えなかったり、強迫性障害で家から出られなかったりするなど本当に困っている人がいる。入院だけでなく、地域で暮らすことを主体的に選べる点も大きい」と説明した。

 講演会は、認知症の人と家族の会佐賀県支部が「世界アルツハイマーデー」(21日)に合わせて開き、約50人が聴講した。

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