夫の故阿部芳明さんと自身の作品を展示した「回顧2人展」を開いている祥子さん=有田町役場

 有田町在住の阿部祥子さん(80)の洋画と、20年前に亡くなった夫で日本画家の芳明さん(享年65)の作品を並べた「回顧二人展」が12日、同町役場で始まった。終活として開く最初で最後の回顧展。戦争に起因して障害を負った経験から「平和の祈り」をテーマにした祥子さんと、動物や自然をモチーフにした芳明さんの作品計約50点を展示している。15日まで。

 祥子さんは小学2年時、上級生のいじめに遭って右脚を骨折。戦後で、職業軍人だった父への風当たりも影響したという。当時歩くこともままならず、2年休学し、小中学校の多くを自宅学習で過ごした。高校卒業後に地元で就職したが、画家を目指して上京後、兄の住む広島市に移り住んだ。

 戦争で心身共に傷ついた被爆者と不戦の思いを共有する中で、「平和の祈り」をテーマに、平和公園のモニュメントや原爆ドームを描き続けた。松葉杖を突きながら働き、脳の病に倒れた芳明さんを6年間支えてみとった後、2001年に有田町に戻った。「描くことで自分を奮い起こしてきた」と振り返る。

 日本美術院院友で広島県展の審査員も務めた芳明さんの作品は、新協美術展などの入賞作を展示。緻密な描写が特徴で、再興院展入選の「オリーヴの樹の下で」は、樹の下で休む白いヤギの毛を一本一本丁寧に表現した。病発覚後に、自身と祥子さんをヤギに見立てて描いた作品も目を引く。

 祥子さんは油絵を中心に、県展や光風会展の入選作などを出品。その時々の心象で色彩が異なり、「公園の一隅」では平和を象徴する色として緑を多用している。

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