豪雨で佐賀県杵島郡大町町の佐賀鉄工所大町工場から流出した油の被害に遭った住宅が少なくとも105棟に上ることが9日、分かった。住宅などの被害程度を証明する罹災証明書の交付に向けた町の調査で油の付着などが確認された。前例がない大規模な油流出による住宅被害を災害としてどう区分するか基準はなく、国が判断基準の検討を続けている。

 大町町などによると、罹災証明書に関する被害認定調査を町内297棟を対象に6~8日に実施した。油の被害が想定される下潟、中島、大黒町、恵比須町の4地区の計105棟で油が確認され、2次調査の対象とした。町は「未確定の数字で、個人からの届け出で判明するケースもあるかもしれない」と説明し、さらに増える恐れもある。

 2次調査では油の被害を詳しく確認するが、既存の国の対応指針は大きく分けて(1)地震(2)水害(3)風害(4)液状化などの地盤被害―の四つで、油流出による被害が絡む場合の調査の在り方や被害の判断基準がない。

 県などは12日から2次調査に着手したい意向を国に伝えており、それまでに基準を示すように要望している。内閣府は取材に対し、油流出による大規模な住宅の被害は前例がないことを挙げ、「被害認定調査の在り方を含めて整理するため、調査、検討をしている」と述べるにとどめた。基準を示す時期や内容については明言しなかった。

 県関係者は「一般的な浸水被害に比べて今回、新たにかさ上げ措置を取れば『前例』になる。だから国でも慎重に議論しているのではないか」と推し量る。

 県は緊急対策としての油の除去作業については、終了する見通しになったとして、国土交通省や自衛隊などと計640人態勢で10日、最終的な除去作業と目視での確認をする。

 武雄市では9日、罹災証明書の申請を受け付けた家屋を対象にした被害認定調査が始まった。初日は3人1組の班を5班つくり、北方、朝日、武雄町の一部を回って浸水の高さ、壁や柱、建具の傷み具合などを調べた。10日からは6班に増やす。地区を絞り込んだ上で事前に連絡して行っている。

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