このコラムを担当するようになって丸7年がたちます。他の媒体もあわせて、おおむね年1回程度骨盤臓器脱のことについて取り上げてきましたが、今でも最も反響が大きい話題です。そしていまだに「こんな症状の人は他にいるんですか?」と聞かれます。先日当院での統計を調べたら、7年間で新規に260人の患者さんが受診されていました。

 骨盤臓器脱とは、出産時のダメージや加齢によって骨盤底筋が弱り、ぼうこうや子宮がおもに腟(産道)から下垂し、ひどくなると腟口から外へ出るようになる病気です。軽い下垂であれば「陰部に何かが挟まったような感じ」があり、重症になるにつれ「陰部に何かふわふわしたピンポン球のようなものが触れる」「陰部から何か出てきている」などと症状が変化します。

 骨盤臓器脱の予防には骨盤底筋体操が有効ですが、重症になると体操で対処するのは難しく、ご希望に応じて何らかの治療を行っていきます。腟内にリングペッサリーという器具を入れたり、保険外になりますが補正下着などで対処することもあります。根本的に治すためには手術が必要です。

 手術法もたくさんあります。佐賀大学では今年から腹腔鏡による根治術が始まりました。経腟手術(会陰から行う手術)は、日本ではここ20年ほどメッシュシートを埋め込む手術が広く行われてきました。欧米ではFDA(アメリカ食品医薬品局)から警告が出たことにより経腟メッシュ手術はかなり減少しましたが、日本では手術成績もよいため、厚生労働省とPMDA(医薬品医療機器総合機構)および関係学会との話し合いにより、経腟メッシュ手術を継続してよいとの判断がなされています。また、古くから行われているメッシュを使わない手術も、場合によってはよい選択肢となります。

 骨盤臓器脱は婦人科や泌尿器科で診察しています。気になる方はぜひお近くの医療機関にご相談ください。(武雄市、なかおたかこクリニック院長 中尾孝子)

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