北方領土を戦争で取り返すことを肯定するような発言を行い衆院で「糾弾決議」を受けた、NHKから国民を守る党の丸山穂高衆院議員が、今度は韓国の国会議員団が島根県・竹島に上陸したことを巡って「戦争で取り返すしかないんじゃないですか」とツイッターに投稿した。

 立憲民主など野党5党派は衆院議院運営委員会で丸山氏から事情聴取するよう求めている。問題とすべきは今回の件だけではない。丸山氏は北方領土に関する発言を撤回、謝罪し、さらに「国会議員の資格はない」とした全会一致の糾弾決議までなされているのだ。謝罪した事実や衆院の決議さえも無視している。

 発言は、武力による紛争解決を禁じる憲法や国連憲章を踏みにじった上、国権の最高機関である国会の権威をおとしめている。

 丸山氏を国会に居座り続けさせることは国際的にも誤ったメッセージを発することになりかねない。一刻も早く厳しい対応を取るべきだ。

 丸山氏は投稿に対する批判に「問題提起であって憲法上も法律上もなんら問題ない。言論封殺の圧力には屈しない」とツイートで反論。NHKから国民を守る党の立花孝志党首も記者団に「問題提起という意味では、何も発言しない国会議員よりいいと思う」と擁護した。

 しかし、「戦争で取り返すしかないんじゃないですか」という内容が丸山氏の言う「言論」の名に値するのかどうか。

 丸山氏は「疑問形の問いかけ」とするが、これは明らかに反語表現である。つまり、「戦争で取り返すしかない」と言っている。これが憲法や国連憲章に違反していることは明白である。だからこそ、選択肢どころか議論の俎上そじょうにも載せられていないのだ。

 それを踏まえた上で、言論だと主張するならば、憲法などとの関係をどうクリアするのかを示さなければならないが、その点は見当たらない。

 また、仮にクリアできたとして「戦争で取り返す」ことが現実的に可能なのか。少し考えれば分かるが、まずその戦争に勝ち、実効支配した状態で終戦に持ち込まなければならない。

 自ら戦争で取り返すという行為に踏み切った以上、韓国側にも同じ大義名分を与えることになり、常に反撃に備えなければならない。また、丸山氏が先に言及した北方領土にも同じように行動するならばロシアとも戦争状態に入ることになる。

 日米同盟も機能しなくなり、国際的にも孤立する。そんな状態が何年続くかも予想がつかない。

 「これまで決定権や交渉権をもつ歴代政治家は竹島について何をしてきたのか」などとする丸山氏のツイッターからは自分が大きなタブーに挑んでいるような陶酔感も漂う。だが、タブーではなく、検討、議論の対象にもなり得ない話を繰り返しているだけである。

 北方領土を巡る発言では世論の批判が高まると撤回、謝罪したものの、衆院議運委の聴取には体調不良を理由に応じていない。ほとぼりが冷めると、懲罰対象の「国会内の発言」にならないようツイッターで発信する。

 ずる賢く国会の品位を汚し、秩序を乱している。一部議員が主張する衆院議長権限で、除名などを決められる懲罰委員会に付すことも検討すべきだ。(共同通信・柿崎明二)

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