開店前から行列をつくり、記念のまんじゅうを受け取る買い物客=伊万里市伊万里町の伊万里玉屋

■「買い物、すべてここだった」

 伊万里市伊万里町の百貨店「伊万里玉屋」(田中丸弘子社長)が31日の営業を最後に閉店し、約半世紀にわたる歴史に幕を下ろした。最終日も多くの買い物客でにぎわい、閉店を惜しむ声が広がった。退職する従業員全67人の処遇と、閉店した店舗の活用策が今後の焦点になる。

 午後6時半に営業を終えた後、セレモニーを開き、田中丸社長は「伊万里を去ることは名残惜しい気持ちでいっぱい。49年間、営業できたことを誇りに思う」と声を詰まらせながら感謝の言葉を述べた。多くの買い物客が見守る中、田中丸社長らが深々と頭を下げ、正面入り口のシャッターを下ろした。

 この日は開店に合わせて300個のまんじゅうを用意したが、倍の約600人が行列をつくった。2時間半前から並んだ伊万里市の主婦(67)は「食料品から服まで、買い物はすべてここだった。明日から来られないと思うと寂しい」と残念がった。

 伊万里玉屋は、佐世保玉屋(佐世保市)のグループ会社。閉店後も、伊万里市内では佐世保玉屋の外商担当が営業を続け、食品などの宅配も新たに始める。

 5階建ての店舗と敷地(約3850平方メートル)の活用策について、田中丸社長は「伊万里市や地元商店街とも話をしたい」との意向を示した。従業員の処遇については「佐世保玉屋や地元で働ける選択肢を示している。閉店後も話し合いを続ける」と述べた。

 伊万里市は昨年11月、従業員の雇用や施設の利活用を検討する対策チームを立ち上げた。セレモニーに出席した塚部芳和市長は「ハローワークとも連携し、一人でも多くの従業員の再就職先をあっせんしたい」と話した。

 伊万里玉屋は1966年4月に開店。91年度には売上高がピークの35億円に達したが、郊外に競合店舗が増えるなど経営環境が悪化。昨年度は売上高が8億円まで減少し、多額の耐震改修費用を回収できないと判断、閉店を決めた。

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