今では唯一の竹羽瀬になった福岡県大牟田市沖の「八つ波瀬」

 海に竹を立て並べ、満潮の時に入った魚を干潮の時に捕る古くからの漁法「竹羽瀬(たけはぜ)」。戦後間もないころは、佐賀県の地先だけでも百カ所ほどあったそうだ。その後盛んになったノリ養殖に切り替えたり、海底陥没で竹が立てられなくなったりして減ってきた。

 それでも昭和の終わりごろに二十数カ所は残っていたが、諫早湾が締め切られた後は潮の流れが弱くなり獲物が入らなくなってきて、次々に廃業した。今では5年ほど前から福岡県大牟田市沖にある「八つ波瀬」だけになっている。

 一辺200メートルの羽瀬に必要な本数は千数百本。V字型の引き潮専用であれば3千本は要る。毎年春に千本前後補充するが、その経費は150万円から200万円になるので、獲物が入らなければ撤退せざるを得ないのだ。10年ほど前までは満ち潮の時も袋網を取り付けるN字状やW字状の仕掛けの羽瀬もあったが、いずれも廃業した。

 今年はなぜか例年入るイカゴ(ベイカ)が、全くといっていいほど入らず、赤字続きらしい。持ち主の吉田幸男さん(63)は「来年は竹立てができるか危うい」と話す。(写真家 中尾勘悟=鹿島市)

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