グループホーム「ほほえみ荘」から避難している入居者と対応するスタッフ。環境改善のため、施設から介護ベッドが運び込まれた=2日午後、杵島郡大町町の総合福祉保健センター

 佐賀県を襲った豪雨により杵島郡大町町のボタ山の斜面が崩落した影響で、周辺のグループホーム「ほほえみ荘」の入居者16人全員が避難所などに避難している。個室だった生活環境が変わり、体調を崩す高齢者が出ている。支援するスタッフも人手が足りず、心身ともに疲労をにじませる。施設に被害は出ていないものの、安全が確認されるまで避難を強いられ、施設の再開のめどは立っていない。

 グループホームでは8月28日午後、ボタ山の崩落後に町から「部屋を用意するので福祉保健センターに避難してください」と連絡があった。入居者は60~90代で、認知症で介護を必要とし、体が不自由で移動に困難を抱える人もいた。スタッフ7~8人で約2時間かけて全員を避難させた。入居者は普段介護ベッドで就寝しているが、避難所では持ち込んだ布団を床に敷いて一夜を過ごした。

 翌29日、発熱やおう吐などの症状が表れる入居者が出てきて、床ずれも問題になった。だが、ボタ山の崩落の恐れから施設は立ち入り禁止になり、避難の継続が決まった。8人が避難所に残り、他の入居者は入院したり施設の運営母体の病院に避難したりした。

 避難所生活は日中は落ち着いているが、そわそわするなど普段と様子が違う入居者もいる。設置された入浴所は一般の避難者と別の時間帯に利用する必要がある。施設長の峰松浩純さん(36)は「集団生活になるなど環境の変化によって心身に影響が出ているのだろう。早く戻りたいと言う入居者もいる」と話す。

 スタッフには自宅の浸水など大雨の被害を受けた人もいる。大町町や県がサポートに入り、日本認知症グループホーム佐賀県支部会がスタッフの派遣を始めるなど支援が広がりつつあるが、人手が足りない状況という。段ボールの簡易ベッドを利用していたが、2日には自衛隊が施設から介護ベッドを運び出して避難所に持ち込んだ。

 関係機関やボランティアなどとの調整をしている施設関係者の杉本健さん(44)は「東日本大震災や熊本地震の被災地で支援活動をしたが、災害の当事者になって高齢者らの避難の難しさを痛感した。スタッフは大変だが、疲労やストレスを抱えながらも頑張っている」と指摘する。

 崩落関連の調査の結果が出るまでは避難生活が続く。杉本さんは「周辺のグループホームから敬老会に招待され、地震があった熊本からも恩返しの支援があるなど多くの善意に感謝している。だができるなら早く施設に戻りたいし、ライフラインは大丈夫なのに戻れないのがもどかしい」と述べた。

このエントリーをはてなブックマークに追加