街の美容室で髪を大胆なショートにしたオードリー・ヘプバーンが、スペイン階段に腰掛けてジェラートを食べる。映画「ローマの休日」である。宮殿を抜け出した王女を特ダネにしようと、後をつけてきた新聞記者役のグレゴリー・ペックが再会を装って声をかける。彼女は食べかけのジェラートのコーンをぽいと画面の外へ…◆ローマで今、この有名な場面をまねしたら、最大400ユーロ(約4万7千円)の罰金を食らいかねない。スペイン階段では2012年から飲食が禁じられていたが、その後も座ったり寝そべったりして、ごみを散らかす観光客が後を絶たず、先月から警察による取り締まりが始まったという◆日本でも外国人観光客の急増で、住民とのトラブルが目立っていると先週報じられた。小城市役所に実例を聞くと、桜の名所でトイレットペーパーが大量に使われたり、蛍狩りの最中にストロボ撮影したり、知らずに民家の庭に入り込んだり。「外国の方に限らないんですけど」と担当者◆さまざまな国の言語で注意を呼びかけるなど、対策がまだ行き届いていない自治体も少なくない。訪日客と地域社会のいい出会いのために知恵を絞りたい◆スペイン階段でヘプバーンはこう語る。「何でも気が向くまましたいの、一日中」。ちゃんとモラルは守って―などとやぼは言うまい。(桑)

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