係員から説明を受ける住宅の片付け支援のボランティア=31日、武雄市北方町の災害ボランティアセンター

 記録的な大雨で冠水被害に遭った武雄市や杵島郡大町町などで、県内外から駆け付けたボランティアが住宅の清掃や片付けに励んでいる。参加者に共通するのは「困った時はお互いさま」という共助の心だ。大量の油の流出も重なり、復旧までの道のりは遠く険しいものになりそうだが、困難が大きいだけに、隣人を思いやり、地域力を深める契機になればと思う。

 「下を向いて涙を流している方が、一人でも多く目を上げられるようになれば」-。甚大な冠水被害に見舞われた武雄市に29日に入り、支援活動をした尾畠春夫さん(79)=大分県日出町=はこう話す。尾畠さんは昨年、山口県で行方不明の男児を発見した「スーパーボランティア」で、被災地支援の象徴的な存在になっている。

 大雨の後、最初の週末となった31日、ボランティアが続々と県内に入った。武雄、多久、小城、大町の4市町に600人を超える人が駆け付け、住民らとともに汗を流した。

 水で膨らんだ畳をはがして運び出すなど浸水家屋の片付けは重労働である。被災者にすれば「何で自分が…」と悔しさも募るだろう。そんな中、ボランティアの献身的な姿が励ましになっているのは間違いないだろう。

 佐賀新聞では、生徒たちの活動も紹介した。武雄中の生徒約100人は大量の雨水の通り道になってたまった木ぎれなどを市内で撤去。鹿島高弓道部の13人は大町町の民家の清掃を手伝った。生徒たちは「自分たちにできることをやりたかった」と話している。その純粋な思いに頭が下がる。

 数字にこそ出ないが、この週末、実家や友人・知人の家などに片付けの手伝いに行ったという人も多いだろう。自分自身は被害を受けなかったが、県外の友人からお見舞いの電話やメールを幾つももらい恐縮した。人のつながりのありがたさを感じる機会になった。

 被災者支援の募金が始まり、ふるさと納税のサイトには寄付コーナーが設けられた。1日付の佐賀新聞「ひろば」欄では、3年前の熊本地震の被災者が「今度は私がお返しする番」とお見舞い金を渡された話も紹介しているが、いま全国の人たちの温かいまなざしが、佐賀に向けられている。

 少子高齢化や過疎化が進む中、県内でも地域の絆が以前より薄れ、地域力が低下しているという指摘もある。行政のサポートは当然として、広域的なボランティアの力も借りながら、スピード感をもって復旧を急ぐ必要がある。

 令和元年に佐賀を襲った大水害。平成2年の豪雨の経験は生かされたのか、備えは十分だったのか…。今後さまざまな分野で今回の水害の検証が進むだろうが、「8・28」を共助の大切さを心に刻む日にもしたい。(杉原孝幸)

このエントリーをはてなブックマークに追加