国営諫早湾干拓事業(長崎県)の開門問題を巡り、農林水産省は、30日に公表した2020年度予算概算要求で、開門しない代わりに創設する基金の経費計上を見送った。見送りは2年連続。農水省は「和解協議の場がなく、昨年度と状況が変わっていないため」と理由を説明している。

 政府は昨年8月、「和解協議の場面がない」として本年度概算要求に基金の経費を盛り込まなかった。農水省農地資源課は「今後、和解に関して進展があった場合は財政当局と協議して予算化を検討する」としている。

 国は潮受け堤防の開門を巡る訴訟で、非開門を前提にした基金による和解を目指している。一方、開門派は、開門を含む和解案を国側に提示しており、協議は進展していない。諫早湾干拓事業の開門調査を巡る一連の訴訟で初めて最高裁弁論が開かれた7月26日、両者は互いの和解案に応じない姿勢を改めて示していた。

 有明海特措法に基づく有明海再生関連事業には約18億円を盛り込んだ。タイラギなど有明海特産魚介類の生息環境調査や、諫早湾環境変化の原因解明のための調査費などに充てる。

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