佐賀鉄工所大町工場(奥)から流出した油を吸着マットで除去する従業員ら=杵島郡大町町福母

 佐賀県など九州北部を襲った記録的な大雨で冠水の被害が大きかった杵島郡大町町では30日、入院患者らが取り残されていた順天堂病院と併設する老人保健施設周辺の水が引いたことで孤立状態が解消された。一方で、同町の佐賀鉄工所大町工場から流出した約5万リットルの油の回収については収束のめどが立っていない。

 看護師ら250人以上が身動きを取れなくなっていた順天堂病院と老人保健施設は、夜通しの排水作業もあって30日早朝に自衛隊の大型車両が通行できるようになった。その後も排水作業を進めて乗用車が通行できる状況になった。

 油流出では、30日も自衛隊や消防などが協力して、オイルフェンスや吸着マットを活用して回収作業に追われたが、広範囲に及ぶことなどから困難な状況が続いた。国土交通省武雄河川事務所は河川への油流入を防ぐため、30日正午に六角川河口堰を閉めた。29日に油膜が確認された有明海では、国と県、県有明海漁協の船が除去作業を行い、拡散防止のために水産庁の関連団体の専門家2人が派遣された。

 県によると、吸着マットの不足が見込まれたため、30日に埼玉県から航空自衛隊が4万7800枚のマットを佐賀空港に移送。陸上自衛隊が同日中に陸路で大町町役場に運んだ。31日も自衛隊が増員して油の除去作業を実施するのに加え、県から30人の職員を派遣するなど早期回収を目指す。

 また、田畑の農作物への油付着も確認され、農業被害への懸念も広がった。

 武雄市や大町町の被害状況も分かってきた。県によると、30日午後3時半時点で、武雄市は床上浸水250棟、床下浸水270棟。大町町は床上浸水58棟、床下浸水143棟で、同町だけで合わせて400件を超える可能性があるという。

 また、30日午後3時現在で、避難指示は武雄市で1万9217世帯4万8973人と大町町で2834世帯6936人で続き、避難勧告は全て解除された。避難所は武雄市、小城市、大町町で7カ所に開設、208世帯344人となった。

 27日昼から運転を見合わせていたJR唐津線は、30日の始発から本数を減らして、3日ぶりに全線で運転を再開。JR佐世保線や筑肥線は31日からの運行再開を見込む一方で、長崎自動車道では通行止めが続く。

 県はみなし仮設住宅の設置を検討しており、9月2日に江北町役場で説明会を実施する方針。8月31日には山本順三防災担当相が来県し、被害の大きかった武雄市、大町町を中心に現地を視察する。

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