平成2年の大嘗祭の御製を記した大橋永佳さんの作品。「父君のにひなめまつりしのびつつ我がおほにへのまつり行なふ」(37センチ×53センチ)

松永豊秀さんが自身のアトリエで最後に手がけた作品のひとつ。「百人一首」の文屋康秀の歌を記している(2013年)

1986年、松永豊秀さんが第一回の個展で出品した作品

松永豊秀さん(提供写真)

64歳の頃、佐賀県書展に出展した作品(2013年)

 かな書道研究「蒼松会」を主宰した書道家・松永豊秀(ほうしゅう)さん(1949~2013年、神埼市)の回顧展が9月、佐賀市と東京都江戸川区で開かれる。力強くおおらかな人柄を映し出す松永さんの書約100点で、64年の軌跡をたどる。第33回を迎える蒼松会展も同時開催。

 松永さんは福岡教育大学特設書道科を卒業、日展参与の今関脩竹(いまぜきしゅうちく)さん(1909~89年)に師事した。日展で初入選した75年、27歳で蒼鉄社(現・蒼松会)を創設。日展の入選は34回にのぼる。

 七回忌にあわせた大規模回顧展。松永さんの妻で同会理事長の大橋永佳(えいか)さん(神埼市)は「松永の感性や表現への考え方を改めて学び、糧としたい」と語る。

 大学の卒業制作で書いた漢字作品など初公開の作品をはじめ、公募展に出展した大作から佐賀五人展などで展示した小品まで並ぶ。

 37歳で初めて開いた個展で展示した臨書は、若々しい線質の中に、師の影響も垣間見える。晩年に自身のアトリエで最後に書いたとみられる一幅は、百人一首が題材。かなの流麗さと漢字を思わせるダイナミックさが同居する。

 同時開催の蒼松会展はテーマを「御製(ぎょせい)で振り返る平成」として、上皇さまらが平成の時代に詠まれた和歌を元にした作品を展示。「昭和の三筆」の一人に数えられる書家、日比野五鳳(ひびのごほう)さん(01~85年)の遺作などを臨書した作品も並べる。

 佐賀会場では9月7日午後2時半から大橋さんが、かな書道の変遷を語り松永さんの作品を解説する。8日午後2時半から、日比野さんの弟子でNHK「はんなり書道入門」講師の池田桂鳳さん(京都府)が「私の歩んだ書の道」と題してギャラリートークを開く。

■来月3日から県立美術館

 ▼佐賀会場は県立美術館で、9月3日から8日まで。東京会場は東京都江戸川区のタワーホール船堀展示ホールで9月29日から10月1日まで。入場無料。

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