掘削開始初期に上流側から見た北山ダムサイト(佐賀土地改良区提供)

コンクリートが打設されるダム右岸(1953年ごろ、佐賀土地改良区所蔵)

嘉瀬川農業水利事業の必要性について記した佐賀県の報告書

北山ダム平面図(1973年)

 佐賀県内初のコンクリートダムとして、1957年3月に完成した北山ダム(佐賀市富士町)にまつわる資料展が、佐賀市の県公文書館で開かれている。建設に至った背景や水没地区の移転、佐賀平野に水を送る川上頭首工(同市大和町)が築造された歴史などを、当時の公文書とパネル、写真で紹介。農業用水の確保や水力発電など、完成から60年以上経った今もフル稼働するダム誕生の軌跡に迫る。

 県中東部を流れる嘉瀬川流域には平野部が広がり、干ばつや洪水がたびたび発生していた。1934年の干ばつを契機に、上流にダム造成の構想が浮上。39年の西日本一帯の大干ばつ時に計画は具体化したが、第2次世界大戦に突入し、建設には至らなかった。

 終戦後の50年12月、佐賀平野の農業用水確保のため、国営事業としてようやく着工にこぎ着けた。

 展示資料は15点。土地改良法に基づき、佐賀県が国に提出した報告書(50年10月5日)は、嘉瀬川について「旱魃(かんばつ)時には用水不足を来たし川上分水地点等にあっては常に水利紛争を起す状態である」(原文まま)と指摘し、農業水利事業の必要性を記している。

 このほか、国と九州電力の間で交わされた水力発電利用に関する協定書(56年3月30日)の写しや、ダムの平面・断面図、川上頭首工の計画概要図、山里の風景が残る建設当初の写真など、図面や写真類も充実している。

 同館の江藤美紗さんは「大事業に至るまでの背景、ダムの多彩な役割について幅広く知ってほしい」と話している。

 ▼佐賀市城内の県公文書館(県庁南館2階)で11月24日まで。観覧無料。問い合わせは同館、電話0952(25)7365。

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