冠水し入院患者やスタッフが取り残されている順天堂病院(佐賀県杵島郡大町町)

冠水し入院患者やスタッフが取り残されている順天堂病院(佐賀県杵島郡大町町)

順天堂病院付近の民家から救出され運ばれる住民(佐賀県杵島郡大町町)

 佐賀県など九州北部を襲った大雨から一夜明けた29日、水が引いた地域では復旧作業が始まった。ただ、入院患者やスタッフが孤立している順天堂病院が位置する杵島郡大町町など依然として広い範囲で冠水箇所が残り、懸命な救助活動が続いている。武雄署などによると、冠水のあった武雄市の民家の1階から住民とみられる女性が発見され、死亡が確認された。国道34、35号など幹線道路の一部通行止めも続いている。

 午前9時50分ごろ、大町町の順天堂病院から海上自衛隊のボートに乗って避難する病院スタッフの姿があった。白石署によると、スタッフに疲労があったため対応したという。佐賀県によると同病院には入院患者ら約180人と医師などのスタッフ約30人に加え、自主的に避難した近隣住民ら計215人が取り残されていた。食料は29日夜の分までは備蓄されているという。周辺では佐賀鉄工所大町工場から流れ出た大量の油の回収作業が進められているほか、国土交通省などがポンプ車を配備し排水作業に当たっている。

 県のまとめでは、午前6時現在、西松浦郡有田町の50代男性が死亡、佐賀市の70代女性が意識不明の重体となっているほか、武雄市内の50代女性の行方が分からなくなっている。県警によると、武雄市北方志久の民家の1階で住民とみられる90代の女性が見つかり、その後死亡が確認された。現場周辺は一時冠水していた。

 佐賀県の山口祥義知事は29日午前、陸上自衛隊のヘリコプターで被害状況の確認に向かい、上空からの視察を午前9時半から約1時間程度実施した。山口知事はその後、陸路で武雄方面に向かい、避難所や油が流出した佐賀鉄工所大町工場(杵島郡大町町)の現状把握に努めるとしている。

 大雨の影響で一部が通行止めとなっている国道34、35号の代替路として、九州地方整備局と西日本高速道路は、長崎道の佐賀大和インターチェンジ(IC)―嬉野ICと、西九州道の武雄ジャンクション(JCT)―佐世保大塔ICを無料開放している。

 長崎道は武雄北方IC―嬉野ICの間で、のり面が崩れたことによる路面の変形が確認されており、下り車線が通行止めとなっている。西日本高速道路によると、人的被害はないが、被害の規模などを確認中で、復旧にかかる期間は見通せないという。(取材班)

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