猛烈な雨によって冠水し、鉄工所から流れ出た油が漂う佐賀県大町町。右上は順天堂病院=28日午後0時12分(共同通信社ヘリから)

 大雨による冠水の影響で、佐賀県杵島郡大町町の佐賀鉄工所大町工場から大量の油が流れ出た。県によると、流出した油量は最大で約8万リットル。鉄工所から六角川の下流1キロ付近に位置する同町の順天堂病院や併設する施設では1階部分が冠水、油が流れ着いている。

 油流出は、28日午前8時ごろに杵藤地区消防本部が覚知。県消防防災課によると、午前9時35分ごろに同本部から「大町の鉄工所から石油類が流出している」と県に連絡が入った。県などはオイルフェンス設置や吸着マットの使用で範囲拡大を防ぐ策を講じている。

 「周辺一帯が冠水し、工場に水が入り出してからはあっという間。対処ができなかった」。工場長はこう振り返った。午前5時ごろに工場内へ浸水すると、瞬く間に一面水浸しに。熱処理用の油が流出し、消防隊員がオイルフェンスで対処したが、すぐに近隣の田んぼなどに広がった。

 県は29日午前8時ごろに、有明水産振興センターから調査船1隻を出して有明海を調べる方針。武雄河川事務所は「(川への)油の流出は確認できていないと認識している」と流出の可能性は低いと見込む。

 県健康福祉部によると、順天堂病院と老人保健施設の入院・入所者は合わせて180人、医師や看護師、介護士が計18人で、孤立状態にあるという。午後2時半ごろから浸水し始め、工場から流出した油も入り込んできた。断水のため貯水タンクの水を使っているが、なくなった場合には「1日2、3トンが必要」との声も出ている。

 大町町報によると、大町工場では1990年の豪雨時にも油が流出。「浸水によって油が流出してあちこちによどみ、除去作業が行われた」などと伝えている。

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