豪雨で膝上まで冠水し、川のようになった道路を歩く市民ら=28日午前8時23分、佐賀市駅南本町

 県都がどこまでも、濁った水に覆われた。線状降水帯が九州北部に居座った28日未明、佐賀県内は全域で1時間に100ミリを超える猛烈な雨に襲われた。佐賀市では前日から降り続いた雨の影響もあり、中心市街地や幹線道路の至る所で冠水や車の水没が相次ぎ、市民生活を直撃した。

 午前8時すぎ、佐賀市の片田江交差点付近で、数台の車が冠水で動かなくなっていた。佐賀空港に向かっていた市内の公務員男性(44)の車はエンジンがかからず「JAF(日本自動車連盟)に電話をしたけれど、混み合っている。来てもらうのに半日かかるかも」と途方に暮れていた。市内の会社に車で出勤中だった別の男性(67)は「歩けばよかった。これで車は駄目になってしまう」と肩を落とした。

 市内の天神では午前10時すぎ、南進しようとした救急車が冠水で方向転換をしたが、その先も冠水していて引き返す場面があった。

 佐賀南署は午前9時25分ごろ、女性から「車が川に入った」という通報を受けた。消防隊員と水ケ江の水路に急行したが、浸水と水路の増水で大型の消防車両が近づけず、救助が難航した。沈んでいた車の中から70代女性を助け出したが、女性は意識不明の重体になっている。

 JR佐賀駅はコンコース内まで浸水し、始発から運転を見合わせた。通勤客はズボンの裾を膝まで上げ、復旧を待った。駅員によると、午前4時ごろから駅周辺が水につかり出したため、侵入を防ぐ「止水板」をコンコースの入り口に取り付けた。それでも約1時間後、入り込んだ水は床上10センチ程度までになった。

 市上下水道局には「トイレの水が流れない」という問い合わせが、冠水した地域を中心に約230件寄せられた。午前中に集中したといい、上下水道局は「冠水で配水管に雨水が大量に入り込み、管内の水位が上がる。そのため管の空気圧力が高まり、トイレから流れてきた水を押し返してしまう」と説明している。

 市内外で早朝、避難する人たちの姿があった。多久市東多久町で、道路冠水を受けて家族4人で近くの小学校体育館に身を寄せた坂口慶(よし)紘(ひろ)さん(33)は「明け方の雨がひどくて、あっという間に水が来た。昨年7月の豪雨よりもひどい」と恐怖を口にした。体育館には冷房設備がなく「これが真夏だったら耐えられただろうか」と課題も指摘した。

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