引退セレモニー後に記者会見を行う鳥栖FWトーレス=23日夜、鳥栖市の駅前不動産スタジアム

 23日の本拠地・ヴィッセル神戸戦で現役生活に終止符を打ったFWフェルナンド・トーレス(35)が、試合終了後に引退会見に臨んだ。一問一答は次の通り。

-現役生活が終わった。率直な気持ちは。

 まず何よりも自分は恵まれた人間だなと思う。18年間のサッカー人生で好きなことを仕事にできた。本当に恵まれた人生だったと思う。そして、共にプレーした仲間たち、相手チームの選手たちと常にハイレベルな中でプレーができた。何事も諦めないという思いで取り組んできた。自分にとっての自信になったし、諦めずにやってきてよかった。

-サガン鳥栖というクラブに対する思いは。

 自分がここ(鳥栖)に来る決め手になったのは、このチームが常に謙虚な気持ちを持っていたこと。クラブの規模が小さい中でも常に野望、野心を持ってプロジェクトに取り組んでいく勇気を持っている。将来に向けて、クラブとして組織的なものをしっかりとつくり、いい方向に向かっていけるように、手助けしていけたらなと思っている。

-この試合を見守ったファン、サポーターにメッセージを。

 何よりもサポーターの方たちは、悪いときもいいときも応援してくれた。自分がプレーしたクラブのサポーターはみんな自分を応援してくれたし、感謝している。自分を成長させてくれたという意味では、相手チームのサポーターにも。本当に幸せに思っている。

-子どもたちに夢を与え続けてきた。

 子どもたちにとって何よりも重要なのは夢を持つこと。それが大きくて、困難であればあるほどいい。自分でしっかりと努力し、謙虚に物事に取り組んでほしい。自分自身もそうしてきた。スポーツの世界もそうだが、目標に向かっていく人に対して、「それは無理だ」「それは難しい」と言う人間が必ずいる。そういう人は遠ざけるべき。自分を助けてくれる、ポジティブな(思考の)仲間を周りに置いて(目的に向けて)取り組んでいけばいい。

-きょうの試合も最後まで諦めずにゴールに向かった。

 いいときも悪いときも、常に諦めずにやっていく。自分はそういうやり方しか知らない。一日一日必ず良くなるように、物事が良くなるように努力を惜しまない姿勢は最後までやり抜けたと思う。

-日本でプレーしたリーグ戦35試合で一番印象に残る試合は。

 自分自身が選ぶのであれば、昨シーズンの横浜F・マリノス戦。

-セレモニーを含めて試合で心を動かされたか。

 試合とセレモニーを終えて、私は感情が高まった。感動的なビデオメッセージが始まっていろいろ思い出した。素晴らしい(スペイン)代表チームで、イニエスタやビジャと一緒にプレーをしてきたことも思い出せた。イニエスタやビジャと抱き合ったときは涙をこらえきれない瞬間だった。偉大なサッカーの歴史の中で、このような終わり方ができて幸せだ。(これから)サッカーができなくて悲しくなるかもしれないが、いまは幸せな気持ち。自分のサッカー人生に後悔はない。

-サガン鳥栖のサポーターはどんな存在だったか。

 悪いときもいいときも常に応援し続けてくれた。それはとてつもないことだ。サガン鳥栖のサポーターは常に、喜びとポジティブな気持ちを自分たちに与えてくれた。昨年の降格を救ったときに皆さんは泣いていたが、それがパッション、情熱だと思う。本当に多くのことを教えてくれた。

-今後はグラウンドの外から支えることになるが、鳥栖がタイトルを取るためにどんな働きをしていくか。

 クラブの全員が同じ方向を向いていかなければならない。チームスタイルを確立して下部組織からしっかり育成し、それに適応できる選手を獲得していくこと。クラブを常にポジティブな人間で固めていくこと。シンプルなことだが、簡単ではない。でも、それはできると思う。

-日本で新たに得た物はあるか。

 人間が持つべきリスペクトの基準が日本にはある。そこは学んだ。日本の人たちは自分たちのプライバシーを守ってくれた。一定の距離を置いて接してくれた。家族と遊びに行っている時でも、距離を保ってリスペクトしてくれた。人に対するリスペクトだけではない。例えば、公園だったり自然だったりに対してもリスペクトし、すごく清潔に保っている。そういったことを子どもたちも学び、これからも大切に思っていくだろう。これからも日本に

訪れ、いろんな場所に行くと思うが、また学び続けたい。

-ピッチ場で感じたJリーグの素晴らしさは。

 選手個人の質、そしてスタジアムの雰囲気は素晴らしい。選手のクオリティーは今後も良くなっていく。

-日本のサッカーの良さや気づいたことは。

 Jリーグは(歴史が)30年弱ぐらいの若いリーグ。クラブも若いが、まだまだ良くなる要素はあるし、良くなっていかなければいけない。一つ言えるのは、サッカーはチームスポーツだということ。選手のクオリティーは高いが、チームとして機能しているかを考えなければいけない。クオリティーをチームとして機能させるための仕事をしていく。

-ゴールを生み出すための向上心をどのようにして保ってきたのか。

 FWとしてプレーしていくことを選んだのであれば、ゴールを決めなければいけない。ピッチにレギュラーとして立つためには、ゴールを決めるしかない。いいプレーをしても、得点を決めなければ監督から外されてしまうから。若いFWの選手に助言するとすれば、「とにかくゴールを決めなさい」。うまいプレーをしなくてもいいから、ゴールを決めろと言いたい。

 -きょうの試合前後に家族と話はしたのか。

 きょうはスペシャルな日だと話していたが、3人の子どもたちはまだよく理解できていないだろう。今から、自分の家族を含めた新しい歴史が始まっていく。これまでのサッカー人生は本当に最高に楽しむことができた。「またこれから新しい一歩を歩んでいこう」と家族に話した。子どもたちが大きくなったときに、本で読んだり、(映像で)見たりして、自分がやってきたことを理解してくれると思う。

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