九州新幹線長崎ルート

 国土交通省は23日、2020年度予算の概算要求で、九州新幹線長崎ルートの未着工区間(新鳥栖―武雄温泉)をフル規格で整備するための環境影響評価(アセスメント)関連費用の計上を見送る方針を固めた。金額を明示しない「事項要求」としても盛り込まない方向だ。フル規格での整備に強く反対している佐賀県に配慮した。今後の協議で着手の環境が整えば、年末の予算編成過程で必要額を計上する考え。

 国交省は、本格的な調査に先立ち測量などを行うアセス初年度の予算規模は大きく膨らむことはないため、年末段階での確保も可能とみている。

 未着工区間の整備方式を検討していた与党検討委員会は5日に「フル規格での整備が適当」との基本方針を決定した。一方で、ルートは「佐賀駅経由」を明記した案を用意していたが、佐賀県が課題の一つに挙げていたことに配慮し、提示を見送った。ルートと整備方式はアセスを実施する上で欠かせない条件で、アセス関連費用の概算要求は困難になったとの見方が広がっていた。

 検討委は、佐賀、長崎両県とJR九州、国交省による4者協議を開き、整備に関して検討するよう求めている。しかし、佐賀県の山口祥義知事は多額の地元負担や在来線のあり方を問題視し、「フル規格前提の議論には応じない」と明言しており、4者協議の実現さえ見通せない状況だ。

 当初、長崎ルートには新幹線と在来線の両方を走行できるフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)を導入し、新鳥栖―武雄温泉は在来線の線路を使う計画だったが、車両開発の遅れで頓挫した。

 国交省の試算では、フル規格化した場合の建設費は約6200億円。佐賀県の実質負担は、現行ルールにないJR九州が支払う線路使用料(貸付料)の全額を建設費に充てる仮定の下、約660億円とした。【共同】

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