源姫の婚礼調度「厨子棚」(縦42・3センチ、横98・5センチ、高さ78・5センチ、鍋島報效会所蔵)

琴柱を入れる箱の包み紙。家紋がはがれた部分からは徳川家の葵紋が見える

源姫が母から受け継いだ和琴(中央、全長192・5センチ)。外箱の家紋は実家・伊達家の三引両紋(鍋島報效会所蔵)

■仙台伊達家・源姫中心に-将軍家との縁も紹介

 典雅な輿入(こしい)れ品から、大名家の婚礼にまつわるストーリーが浮かび上がる。歴代佐賀藩主らの愛用品などを紹介する徴古館の「伝来品でたどる鍋島家の歴史」展の第2期。特集展示は「仙台伊達家からの御輿入れ」がテーマ。7代藩主鍋島重茂(しげもち)(1733~70年)に嫁いだ源姫(もとひめ)(1739~61年)の貴重な婚礼調度を中心に紹介している。

 源姫の父は6代仙台藩主伊達宗村(むねむら)(1718~56年)、母は8代将軍徳川吉宗の養女利根姫(とねひめ)(1717~45年)で、1758(宝暦8)年9月11日に重茂と結婚した。

 「重茂公御年譜」によると、婚儀に先立ち源姫の調度品を江戸の仙台藩邸から佐賀藩邸へ運ぶ際、9月5日から8日までに終わる予定だったが、品数が多く10日までかかったという。

 調度の中で目を引くのが11年ぶりの公開となる和琴(わごん)。制作された1735(享保20)年は母の利根姫が徳川家から伊達家に輿入れした年で、娘の源姫が受け継いだ可能性が高い。

 弦を支える琴柱(ことじ)を収める箱の中の包み紙は、伊達家の家紋「三引(みつひき)両紋」がはがれており、下から徳川家の葵紋がのぞく。輿入れに伴い、伊達家の家紋に描き換えられたのが分かる。

 伊達家は複数の家紋を用いており、手箱や香道具などを飾る「厨子(ずし)棚」には華やかな金銀の蒔絵で「雪薄(ゆきすすき)紋」「竹に雀(すずめ)紋」が施されている。

 源姫は結婚から3年後、長男源丸(もとまる)の出産後に容体が急変し23歳で早世。1763(宝暦13)年に継室として田安徳川家から源姫の従姉にあたる淑姫(すえひめ)(1744~1815年)が嫁いだが、その7年後には重茂が死去。展示中の肖像画は落髪し「圓諦院(えんていいん)」となった姿だ。

 同館の池田三紗学芸員は「今年は重茂の没後250年の節目。鍋島家と大名家、将軍家との縁戚関係が紡ぐ物語を想像してほしい」と来場を呼び掛ける。

 ▼佐賀市松原の徴古館=電話0952(23)4200=で10月19日まで。入館料300円。小学生以下無料。日曜と祝日は休館。

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