オランダ焼物(染付花卉文蓋物)

 陶磁器用絵の具を用いて紙に銅板印刷し、それを器面に転写する銅板転写法が、18世紀末にイギリスで実用化されました。これにより精密な絵柄の焼き物の大量生産が可能となります。この技法はすぐにオランダでも普及しました。

 開国によりオランダとの貿易の自由度も拡大すると、1859年にはオランダの代表的な窯の一つであるレグー窯が、自社製品を中心とした商品を満載した3隻の船を日本へ送り出しています。オランダ陶磁器産業の近代化を進めたレグー窯は、日本向けの商品も積極的に製造、輸出したことで知られています。

 重要文化財である武雄鍋島家洋学関係資料の中には、銅板転写法で製作された蓋(ふた)付大皿が二つがあります。底部銘の「P.R」は、レグー社が1850年代~80年代に使用したプリントマークです。裏銘に「P.R AUROREA」とあり、花卉(かき)文は「オーロレア」という花柄のパターンでギリシャ神話の曙の女神であるオーロレアの持物に由来します。

 箱書には「卯舶来阿蘭陀焼蓋物」とあり、「長崎方控」四(重要文化財・武雄鍋島家資料)の「注文到来留(到来品)」「安政二卯(1855)年十月六日条」に「染付蓋物 弐ツ大」とあることと符合し、伝来の時期が確実な資料です。レグー社が日本と正式な取引を始める前に到来した、希少な資料であることが分かります。

 この資料は、25日まで開催されている「すごいぞ!武雄~見たい!知りたい!学びたい!武雄の蘭学~」で展示されています。(武雄市図書館・歴史資料館 一ノ瀬明子)

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