神埼ヘリ墜落事故の調査結果を佐賀県に報告した後、報道陣に質問される陸上幕僚監部の大塚裕治装備計画部長(中央)=21日午前10時22分、県庁

 主回転翼を固定するボルトはなぜ破断したのか-。神埼市千代田町の住宅に陸上自衛隊目達原駐屯地所属のAH64D戦闘ヘリコプターが墜落した事故で、陸自の事故調査委員会がまとめた調査結果の全容が取材で明らかになった。ボルト付近に塗られた腐食防止剤の劣化が想定しない摩擦を生じさせていた。

 事故調には民間の航空工学の有識者や防衛装備庁の技官が加わり、調査を進めた。主回転翼を回転軸に固定する「メインローターヘッド」内部はステンレス製ボルトの穴にピンが差し込まれ、通常は一体となって作動している。事故機は、メインローターヘッド内部に塗られた腐食防止剤が劣化した結果、ピンが固着してボルトとの間で摩擦が発生。金属粉がボルトを削ったことで局所的に強度が不足し、亀裂が生じて破断に至ったとした。

 ただ、事故機を開発した米ボーイング社は過去にこうした事例がないとしており、防衛省は航空機への搭載前、既に「何らかの理由」でボルトに亀裂が生じ、破断した可能性も排除できないとして、二通りの原因を併記した。

 防衛省は、点検と保管の各要領を見直すことで、二通りいずれの原因にも有効な再発防止策を設定できるという。点検ではメインローターヘッドの交換前に(1)動作を確認して固着がないか調べる(2)ボルトに亀裂がないか超音波などによる非破壊検査をする-とした。加えて、搭載済みのメインローターヘッドも点検し、腐食防止剤の適切な再塗布を徹底するとした。

 保管では、搭載前のメインローターヘッドはこれまで木製コンテナで保管していたのを、金属製コンテナに切り替えるとした。

 21日、こうした調査結果の説明を受けた県や関係市町の担当者の一人は「腐食防止剤の劣化はともかく、もう一つの可能性の搭載前に『何らかの理由』で亀裂が生じていたというのは結局、分からないということではないのか。よく精査したい」と話した。今後、正式に報告を受ける山口祥義知事や関係市町の首長らがどういった対応を見せるかが焦点になる。

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