汗びっしょりになってウナギを焼く藤井滋人さん=鹿児島市荒田2丁目のうなぎのふじ井

 ウナギの脂とたれが備長炭にしたたり落ち、煙が立ち込めた。香ばしいにおいが食欲を一気に刺激する。鹿児島市の「うなぎのふじ井」。2代目店主の藤井滋人さん(35)は耳まで真っ赤にして焼き台に向かう。顔のあたりの温度は70度近くになる。

 「夏場は4キロやせますよ」。繁忙期のこの時期は毎朝7時から仕込みに入る。土用の丑うしなど多い日には400匹ほどを5人でさばき、串を打つ。

 焼きは藤井さんが一手に引き受ける。午前8時から2時間の休憩を挟んで午後9時まで立ちっぱなし。スポットクーラーを当てているが焼け石に水だ。「夏バテしないように食べるのがウナギ。料理人が暑さに負けてはいられない」と笑う。

 父・勝海さんが亡くなり、店を継いで2度目の夏だ。3人きょうだいの末っ子。「『毎日食べても飽きない』と言っていたおやじほどではないが、ウナギは幼い頃からの大好物」と話す。高校卒業後、専門学校で調理師免許を取り、19歳から店を手伝い始めた。

 使うのは、父の代から変わらず鹿児島県大隅産のウナギ。「身と脂のバランスがよく、脂も上品」とほれ込む。創業から40年継ぎ足すたれも味に深みを与えている。

 鹿児島県の養鰻(ようまん)量は日本一を誇る。一方でニホンウナギは絶滅危惧種に指定され、高騰が続く。稚魚のシラスウナギの今年の漁獲量は3・7トンで、水産庁が統計を取り始めた2003年以降で過去最低となった。

 今年から、3人の子どもや店のスタッフと月1回、市内を流れる甲突川のごみ拾いをしている。「ウナギの成長にはきれいな水が欠かせない。ささやかな活動だけれど、少しでも役に立てれば」

 (南日本新聞報道部・石本のえる)

 

 【メモ】定番のうな重は1836円から。うな丼のほか、ひつまぶし、うな丼と鹿児島産の豚丼が2層に重なる「わっぜえか丼」など。関東風、関西風を選べる。「うなぎのふじ井」は電話099(250)3235。

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