「五山賞」の贈呈式に出席した鎌田さん

紙芝居「かまた先生のアリとキリギリス」の表紙

「五山賞」の贈呈式に出席した鎌田さん(左から2人目)

 「老後は2千万円必要」という報告書がいろいろな問題で物議をかもしましたが、人生100年時代に備えておかなければならないのはお金だけではありません。元気で長生きするために重要なのは、「社会的なつながり」だといわれています。趣味や人間関係、地域活動などによる社会的なつながりは、老後を支える大事な資産なのです。

■最強の85歳を目指そう

 「RBG 最強の85歳」というドキュメンタリー映画を見ました。RBGとは、ルース・ベイダー・ギンズバーグの頭文字。弁護士時代から一貫して女性やマイノリティの権利発展に努めてきた彼女は、クリントン政権時代、女性として史上2人目の最高裁判事になりました。トランプ政権下でも権力になびかず、民主主義への愛あふれる言動は、若い世代からも拍手喝采を浴びています。

 映画では、彼女がジムで筋力トレーニングをしているところも映されました。85歳になっても精力的に活動できるのは、筋肉を動かして「貯筋」をしていることも関係しているのではないでしょうか。

■健康のカギは、社会参加

 最近の論文では、「社会的なつながり」が健康に影響を与えることがわかっています。筑波大学の研究チームがまとめた論文によると、(1)近所づきあいがない、(2)独居、(3)老人会や地域の祭りなど社会活動への参加がない、(4)経済的に困窮―の4項目のうち、2項目以上当てはまる人は、6年後、半数近くが要支援・要介護状態になったり、死亡していることがわかりました。

 この要介護・死亡リスクは、1項目も当てはまらない人に比べて、1・7倍も高くなります。さらにフレイル(虚弱)の状態が加わると、リスクは2・3倍にもなるのです。

 つまり、社会的なつながりが弱い人は、健康寿命が短くなりやすく、フレイルが加わるとさらにそのリスクは高まるということです。

 認知症のリスクについての研究もあります。ハーバード大学の研究です。高齢者の社会参加の状態と、アルツハイマー型認知症の発症にかかわるアミロイドβタンパク質の蓄積量、認知機能を追跡調査すると、社会参加の少ない高齢者はアミロイドβの蓄積量が増えていました。

 また、ジョンズホプキンス大学のリンダ・フリード教授は、高齢者自身が生き生きと社会貢献することが、フレイル予防にとって重要といっています。

■仕事や趣味で仲間づくりを

 ぼくは昨年、初めて紙芝居をつくりました。イソップ童話「アリとキリギリス」を鎌田流の物語にした「かまた先生のアリとキリギリス」(脚本・鎌田實、絵・スズキコージ、童心社)です。この作品が、五山賞特別賞を受賞しました。

 その授賞式で、紙芝居ボランティアをしている中高年の人たちと出会いました。学校に出向き、平和や命の大切さを伝える紙芝居を読んで、子どもたちと議論しているとのことです。すばらしい活動だと思いました。

 地域には、趣味のサークルや高齢者クラブ、サロン、地域行事や祭りなどがあります。まずは自分にできそうなもの、楽しめそうなものに参加してみるのはいかがでしょうか。近所の人と誘い合って、ウォーキングがてらに遠くのスーパーまで買い物に行くというのでもいいのです。

 社会的なつながりづくりは、高齢者になってからでもいいですが、できれば若いうちからつくっておくと安心です。そうしたつながりのなかで、お互いに健康意識を高め合っていくことが、活気ある地域づくりにつながると思います。

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