当日の上映会に向け、事前に音声機器の準備をするみないろ会のメンバーたち=佐賀市松原のシアター・シエマ

音声ガイド付きで上映するドキュメンタリー映画「ひいくんのあるく町」。町の人たちとひいくんの交流が描かれる

 バリアフリー映画の制作に取り組むみないろ会(約30人、森きみ子会長)が、視覚障害のある人に向けて映画の情景を説明する音声ガイドを初めて制作した。上映会が24日午後1時から、佐賀市松原のシアター・シエマで開かれる。障害の有無にかかわらず、映画を楽しめる環境づくりに向けた一歩となる。

 音声ガイドは「青いTシャツにヘルメットをかぶった男性が通りを歩く」など、登場人物の見た目や動きなどの視覚的な情報を補う。作品は山梨県市川三郷町を舞台にしたドキュメンタリー映画「ひいくんのあるく町」。知的障害があり「ひいくん」の愛称で親しまれる男性の日常と、地域の人たちとの温かなつながりが描かれる。

 ガイドを制作したみないろ会は、福祉に関心のある人や映画好きが集まった団体で、昨年4月に結成。正式名称は「みんなでいろんな映画をみたいからバリアフリー映画をつくる会」で、佐賀でも障害のある人が日常的に映画を観賞できる環境づくりに取り組む。募金で集めた約128万円で録音機などを購入し、昨年11月ごろからガイドの制作に取り組んだ。

 3月に関係者向けの上映会を開き、「ガイドが本編の会話とナレーションに重なっている」「時間の経過を説明して」などの感想を受けて修正を重ねた。メンバーで唐津市の梅﨑智香さん(35)は「場面転換や一瞬だけ映るきれいな景色の説明にもこだわった。皆さんに言葉で聞く感覚を楽しんでほしい」と話す。

 2016年の障害者差別解消法施行に合わせ、大手映画制作会社の作品を中心にスマートフォンやタブレット端末で音声ガイドなどを再生するアプリ「UDCast」が開発され、視覚・聴覚障害者を取り巻く映画の楽しみ方は大きく変わった。一方で単館上映だと対応していない作品が多い現状があり、ボランティア団体などによる音声ガイドや字幕制作の活動が全国でも広がっている。

 上映会は県とみないろ会が主催。自身も視覚障害がある森会長(64)は「観賞後の語り合いが、作品を理解するためには大切で、それを含めて楽しんで」と話す。

 上映後には青柳監督とひいくん(渡井秀彦さん)らを招いたトークショーも開く。要予約で入場料千円。車いす席あり(要予約)、聴覚障害者用の日本語字幕も付けて上映する。電話0952(27)5116、メールoffice@ciema.info。

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