日本を代表する劇作家三好十郎

作曲家の小山清茂(小山清茂記念展示室提供)

 日本フィルハーモニー交響楽団は、作曲家小山清茂(きよしげ)(1914~2009年、長野県出身)が1957年に作曲した「管弦楽のための木挽歌(こびきうた)」に引用されている民謡が、杵島郡白石町周辺で伝承された「木挽歌」と特定した。8月下旬の公演に合わせて日フィルが調べ、判明した。佐賀市出身の劇作家三好十郎(1902~58年)が台本を書いた音楽劇を通じ、小山に九州民謡を伝えていた。

日フィル調査、福富で伝承

 「管弦楽のための木挽歌」は民謡の旋律に基づく変奏曲で、日本人が作曲した管弦楽で最も有名な作品の一つとされる。演奏時間は約11分。小山は自著で「劇作家の故三好十郎氏と組んで音楽劇『破れわらじ』というのを作った、そのときの音楽に手を加えて完成したものである」(『田螺(たにし)の歌が聞こえる』)と振り返っている。

 この記述を手掛かりに、日フィルが佐賀民謡を調べ、県内各地の民謡の音源データが県立図書館で保存、インターネットで公開されていることを把握した。「木挽」で検索すると武雄、鹿島、嬉野、七山など県内各地で歌われた、さまざまな節の29曲が見つかった。このうち、福富町(現・白石町)周辺で伝承されていた「木挽歌」が、ほぼ同じ節回しだった。

 特定した民謡は、白石町の大正6(1917)年生まれの農業男性が歌っている。「ヤーレ山で切る木は沢山あれど…」という歌い出しで1分32秒。労作歌と分類されている。

 日フィルは27日午後7時、東京・池袋の東京芸術劇場で演奏会を開く。「管弦楽のための木挽歌」も演奏する予定で、演奏に先立ち、モデルになっている佐賀の「木挽歌」の音源を紹介する。

 小山の長男の茂さん(73)は「(出身地の)長野にも木挽歌はあるが、三好十郎さんとラジオドラマを一緒にやり、親父は佐賀の木挽歌が気に入ったようだ」と語る。長野市で小山清茂記念展示室を運営する実行委員会の大久保邦良委員長(77)は「小山さんは地元の誇り。佐賀との民謡の具体的な関わりが分かってとてもうれしい」と述べた。

 民謡を調べた日フィルの山岸淳子さんは「日本人に親しまれている小山清茂作品のルーツを確認できたこと、実際にどのような民謡を耳にして作曲の契機にされたのかを知る機会を得たことは、この作品と、小山さんの作曲の意図を振り返ることができるという点で意義深い」と話している。

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