お盆休みも過ぎて、子どもたちの夏休みも残すところ10日余り。そろそろ、手つかずの宿題の山が気になり始めた子どもも少なくないだろう。

 自由研究の定番と言えば、昆虫採集や、植物採取が思い浮かぶ。有明海と玄界灘の二つの異なる海を持ち、東西に長く伸びる天山山系、広大な佐賀平野と特色がある佐賀の自然が舞台だけに、発見に満ちた体験ができるだろう。

 見つけた生き物や植物の特定には、デジタルアーカイブが強い味方になる。公立図書館では全国で初めて佐賀県立図書館が、充実した検索機能を持つ電子書籍「佐賀の自然デジタル大百科事典」をサイトで公開しているからだ。

 「佐賀県の淡水魚」「佐賀の蝶」「佐賀の野草」の3種類の図鑑を公開しており、簡単に閲覧できる。いずれも1990年から95年に出された県内各地を丹念に調査してまとめた名著だが、現在は絶版になっていた。

 デジタル化に当たり、新たな情報も加えており、子どもたちが佐賀の自然を学ぶ格好のガイドといっていい。地方の出版物が厳しい環境に置かれている中、デジタルアーカイブの形でよみがえらせた意義は大きい。

 デジタル版に生まれ変わったことで、紙の書籍にはなかった使いやすさも加わった。検索方法にしても「模様・形から探す」「和名一覧から探す」「画像から探す」と複数の方法から選べて、該当する生き物や植物を見つけやすい。

 夏休み期間中、県内の博物館では、子どもたちに見せたい企画展がめじろ押しだ。

 唐津市の県立名護屋城博物館が開いている「トイレのナゾを追え-肥前名護屋の厠(かわや)と雪隠(せっちん)」は、名護屋城周辺に残された大名たちのトイレ遺構などに目を向けたユニークな企画展だ。

 大名たちが使ったトイレが、単に用を足すだけでなく、茶の湯の文化に伴って「見せる」役割を持っていたことなどを紹介している。縄文時代の貝塚から出土した「糞石」や、トイレットペーパー代わりに使った木片なども展示しており、子どもたちが考古学に関心を持つきっかけになるだろう。

 もう一つ、佐賀市の県立美術館で開かれる、東京の国立科学博物館の巡回展「みんなでまなぶ みんなでまもる 生物多様性」も、小規模ながら注目したい。

 「ダーウィンを驚かせた鳥たち」と題して、ダーウィンが進化論を生み出すきっかけになった鳥「ダーウィンフィンチ」を軸に、進化と多様性を解説する。地球上に3千万種ともいわれる生き物の多様性が失われつつある現状を知ることは、子どもたちの視野を地球規模に広げるかもしれない。

 地球規模の異常気象は、私たちの暮らしにもはっきりと影を落とし始めた。佐賀市の記録を見ると、8月の最高気温は50年前は35・5度だったが、昨年は38・4度を記録している。同月の平均気温で比べても、27・4度が30・1度で、いずれも3度近く上昇した。

 たった50年で3度という上昇ペースが、いかに異常か。これからの時代を生きる世代にとっては避けられない問題である。

 残された夏休みが、これからを担う子どもたちにとって「発見」に満ちた夏となるよう見守りたい。(古賀史生)

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