出土した慶長丁銀(右)と極印の配置概念図。大黒像のほか、「寳」「常是」の文字が極印されている(唐津市教育委員会提供)

拡大した慶長丁銀。左に「常是」、右に「寳」の字が極印されている

 唐津市教育委員会は16日、唐津保健福祉事務所(大名小路)の建て替えに伴う唐津城跡発掘調査で、江戸時代の高額貨幣である「丁銀(ちょうぎん)」が出土したと発表した。全国で5例目で、これまで京都や大阪で確認されたケースはあったが、九州では初めて。市教委は「大都市を中心に流通していた丁銀が、西日本の中規模の地方藩でも使用されていたことが分かる貴重な資料」と話す。

 市教委によると、丁銀は長さ10・08センチ、幅3・59センチ、厚さ0・73センチ。重さは166・789グラムで、形状は「ナマコ形」と呼ばれる長楕だ円えん形。2017年4月、保健福祉事務所の建て替え時の発掘調査で、近代の造成土から出土した。調査した場所は江戸時代、家老級の上級武家屋敷地だった。

 出土時、表面はさびに覆われており、長崎県埋蔵文化財センターで科学分析やクリーニングを実施した。表面は銀が約7割、銅などが3割弱の合金で、大黒像と寳(宝の旧字)のほか、鋳造者の名前である「常是(じょうぜ)」の極印(ごくいん)が確認できた。兵庫県の研究者が鑑定し、1601(慶長6)年から95(元禄8)年に鋳造された「慶長丁銀」と判明した。

 江戸時代、丁銀は小判に次ぐ貨幣的価値があった。庶民の日常的な経済活動では使われず、対外貿易や大都市の武家、商人の間で用いられた。出土した丁銀は18世紀の米価を基にすると、約5万5千円の貨幣価値があったと考えられる。

 市教委生涯学習文化財課の美浦雄二さんは「上級武家の貨幣使用状況の一端がうかがえる」と話す。

 市教委は20日から9月29日まで、丁銀をはじめ、唐津城跡の出土品を唐津市菜畑の末盧館で展示する(月曜休館、月曜が祝日の場合は翌日休館)。入館料大人200円、小中学生100円。

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