熱気に包まれる焼き場で、串を焼き上げる井上絢矢さん=7月、福岡県久留米市

 オレンジ色に燃える炭から立ち上る白い煙。食欲をそそる香ばしい匂いが店内に広がる。全国屈指の「焼き鳥激戦区」として知られる福岡県久留米市。サウナのような熱気に包まれた焼き鳥店の焼き場では連日、「最高の1本」を目指し、職人たちが汗を拭いながら串を回転させている。

 久留米の焼き鳥は「ご当地グルメ」として市民に愛され、市内には百数十の店が軒を連ねる。店舗数が人口比で全国最多となったこともあり、2003年に「焼きとり日本一」を宣言。市全体でPRに取り組んでいる。

 「焼きとりストリート」と呼ばれる中心街の一角に本店を構える、創業40年の人気店「焼とり鉄砲」。野菜などを豚バラ肉で包む「巻物」は九州ではここが発祥とされ、鶏肉のほか、牛や豚の希少なホルモンなど多彩なメニューをそろえる。

 ステンレスとアクリルの板に3方向を囲まれた焼き場で、店長の井上絢矢(いのうえじゅんや)さん(38)が何種類もの串を手際よく回す。「高温になるから、脱水症状にならないよう水分補給は欠かせない」と話す顔は汗びっしょりだ。

 火加減などに細心の注意を払い、約6時間で700本程度の串を程よい焼き色に仕上げていく。食材の種類や炭の燃え具合に合わせ「最高の焼き目」を生むことにこだわる。

 久留米焼き鳥は種類の豊富さが特徴。中でも、豚の大腸を塩のみでこんがりと焼き上げた「ダルム」が名物だ。久留米市は病院、診療所の数が全国トップクラスで、医師や学生がドイツ語で腸を意味するダルムと呼んだのが始まりとされる。

 9月7~8日には、市内の東町公園で「第17回久留米焼きとり日本一フェスタ」を開催。各店自慢の串を味わえる。(共同通信福岡編集部・杉浦修)

 

 【メモ】久留米焼きとり文化振興会によると、1960年代前半に屋台で提供されたのが始まり。久留米市へは福岡市の西鉄福岡(天神)駅から特急で約30分。問い合わせは同会、電話0942(38)1811。

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