♪夕焼小焼で日が暮れて/山のお寺の鐘が鳴る…童謡「夕焼小焼」は戦時中、子どもたちにこう歌われた。〈夕焼小焼で日が暮れない/山のお寺の鐘鳴らない/戦争なかなか終わらない/烏からすもおうちへ帰れない〉◆当時、お寺の鐘はいや応なく供出させられ、武器に作り変えられた。時を刻む鐘の音が地域から消え、ひもじくてつらい毎日が続く。「烏」は疎開先から帰れない自分自身だろうか、戦地に行ったきりの父や兄だろうか◆この歌を『子どもの替え歌傑作集』に紹介した児童文学者の鳥越信さんは〈「日が暮れない」「なかなか終わらない」、永遠に続くかと思われた時の長さは、今思い出しても鳥肌が立つ〉と振り返る。そんなやりきれない心情を、替え歌に託すしか語るすべがない時代でもあった◆戦争の受難者は兵士ばかりではない。子どもや女性、高齢者といった銃後の人々をめがけて空襲が繰り返され、ついには原子爆弾が投下されたのである。「終戦の日」は戦没者の慰霊の日であると同時に、すべての戦争犠牲者に思いを寄せるひとときである◆世界に目を向ければ、自国のエゴが対立し争いの火種はくすぶる。平和になれすぎて、その尊さを忘れてしまってはいまいか。〈終戦日妻子入れむと風呂洗う〉(秋元不死男)。そんな、ささやかでありふれた日常をいとおしく思う。(桑)

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