国連が掲げる2030年の「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成へ向けて、佐賀県内でも市民団体、企業や行政、学校で取り組みが広がりつつある。ただ、SDGsという言葉を見たり聞いたりすることが増えてきてはいるものの、一般に浸透しているとはまだ言い難い。何をすればいいのか、いまひとつ具体像を描けていない人は多い。世界が直面する課題解決への共通目標が、私たちの暮らしといかに関わりが深いかを知ることが大切だ。

 SDGsと書いて「エスディージーズ」と読む。「Sustainable Development Goals」の略語である。2015年に国連サミットで採択された。「誰一人取り残さない」を合言葉に、環境保全、子どもの貧困や飢餓の撲滅、教育の確保、平等で格差のない社会など17分野の目標を掲げる。地球環境を壊さずに、誰もが安心してよりよい生活を送ることができる世界の実現を目指して、日本をはじめ国連に加盟する193カ国が連携して努力する約束である。

 貧困や飢餓と聞けば発展途上国の話と考えがちだが、SDGsは経済的な先進国とされる国々も取り組むべき普遍的な課題だ。いずれの国もSDGsの物差しで見れば、「発展途上国」といえる。遠い世界の話ではなく、私たちの身近な暮らしと結び付いている。つまり、一人一人が関心を持つべき問題である。

 それでも地球環境の危機に対し、世界各国が力を合わせて取り組む目標というと、自分は関わるのが難しい、意識が高い人が行動する話と思ってしまう人もいるだろう。そこが、SDGsとの距離を感じ、関心が高まらない一因となっていると考えられる。

 国連採択から4年がたち、国内、佐賀県内でも行動は始まっている。17の目標を意味する17色の円形ピンバッジを身につけている人を見掛けることも増えた。NPO法人地球市民の会と佐賀新聞社が1月に開いたSDGsのシンポジウムは熱気があったし、佐賀県は新たな総合計画でSDGsを意識しながら取り組むことを明記した。学校法人佐賀龍谷学園は中学、高校で生徒たちが学び、実践する教育を推進している。

 具体的に何をすればいいか。SDGsの目標には、大量生産、大量消費、大量廃棄といった経済優先の社会への警鐘がある。例えば、食べ物が無駄に捨てられる「食品ロス」や「海洋プラスチックごみ」の問題に対応することも、目標達成のために「できること」だ。食べ残さない、買い物にはマイバッグを活用してレジ袋を使わない。国連がウェブサイトに掲載している「ナマケモノにもできるアクション・ガイド」の事例を参考に、自分にもできることを実践したい。

 目標の2030年まではあと11年である。7月、国連がSDGsの進展状況を検証する報告書を発表したが、気候変動や貧富格差の拡大が多くの分野で悪影響を与えつつあると強い懸念を表明し、各国に取り組みの強化を要請した。

 普段の行動でもちょっと意識すれば、目標へ近づく一歩になる。持続可能な社会とは、誰もが暮らしやすい社会であるはずだ。私たちの行動が、社会を変え、よりよい未来をつくる。(辻村圭介)

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