4~6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比0・4%増、年率換算1・8%増となった。3四半期連続のプラス成長だが、内需は盤石とは言えず、世界経済の減速で輸出の停滞が続いた。米中貿易摩擦の激化で海外リスクが高まっている上に、10月には消費税増税が控えている。景気の変調に万全の備えが必要だ。

 GDPの2本柱のうち個人消費は前期比0・6%増(前期は0・1%増)、企業の設備投資は1・5%増(同0・4%増)と、いずれも3四半期連続で増加した。住宅投資は0・2%増。内需は成長率の0・7ポイントの押し上げに寄与した。

 輸出は0・1%減(同2・0%減)と2四半期続けて減少した。輸入は前期(4・3%減)の反動で1・6%増と大幅に回復したため、輸出から輸入を差し引いた外需は成長率を0・3ポイント押し下げた。

 数字だけを見れば、外需の不振を堅調な内需が補い、比較的高い経済成長率を実現した形だ。だが、内実を点検すると、決して手放しで評価することはできず、景気の前途は楽観できない。

 最も注目されるのは、個人消費が高い伸びを示したことだが、改元に伴う10連休を中心とした「特需」の効果が大きく、この傾向が長続きするとは思えない。設備投資は人手不足に対応した省力化投資などで活発だったが、国内外の経済環境が不透明さを増す中で、高い設備投資意欲が維持される保証はない。

 GDP以外の経済指標では、6月の日銀の企業短期経済観測調査(短観)が、景気の停滞感の強まりを示している。大企業製造業の景況感は2四半期連続で悪化した上に、過去2回の消費税増税前後に比べて著しく弱かった。企業経営者の間に景気の先行きに対する悲観的な見方が広がっている。

 当面の景気には不安材料がいくつもある。中でも大きいのは、米中貿易摩擦に発する世界経済の減速と、10月に予定されている消費税率の10%への引き上げだ。

 米中貿易摩擦は一段と深刻化し、着地点が見えない。米政権が対中制裁関税第4弾の発動表明に続き、中国を「為替操作国」に認定したことで、貿易摩擦は通貨政策にも波及した。この影響で世界経済がさらに減速すれば、日本経済は輸出の減少を通じて打撃を受ける。政府は主要国と連携して米中両政府に働き掛け、粘り強く対立の緩和に努めるべきだ。

 米中貿易摩擦の激化は金融市場を動揺させ、急激な円高を招いた。米国の利下げをはじめとする世界的な金融緩和の流れも、円高を進行させ、輸出企業の収益を悪化させる恐れがある。

 10月の消費税増税が個人消費を冷やして景気を下押しする懸念は言うまでもない。日本経済がこれらの逆風を乗り越えられるか予断を許さない。政府、日銀は景気失速の可能性を想定し、その兆しが見えたら、直ちに政策を発動できるように準備しておくべきだ。

 安倍晋三首相は7月末の経済財政諮問会議で「リスクが顕在化する場合には機動的なマクロ経済政策を、ちゅうちょなく実行する」と強調した。日銀も必要ならちゅうちょなく追加緩和する方針を示しているが、金融政策で残された手段は多くない。政府の役割が重要になる。(共同通信・柳沼勇弥)

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