「獅噛文帯金具」の一部。金銅製で獅子の顔が刻まれている(多久市郷土資料館提供)

牟田辺遺跡の古墳で見つかった「獅噛文(しがみもん)帯金具」一式(多久市郷土資料館提供)

 多久市南多久町の牟田辺(むたべ)遺跡で獅子の顔が描かれた「帯金具」一式が出土したのは国内で初めてのケースだったことが、市教育委員会の調査で分かった。同じ文様の帯金具の一部は長野県など国内5カ所で見つかっているが、用途など不明な点が多く、全容を知る手掛かりになると期待されている。出土例が多い朝鮮半島から伝わったとみられ、専門家は「日本の対外交流の歴史を明らかにする上でも優れた発見」と評価している。

 出土した帯金具は、帯に取り付ける金銅製の装飾具。鈴を下げた飾り金具や留め金具、帯の先端を飾る「鉈尾(だび)」など約20点が市教委の発掘調査で見つかった。

 飾り金具の大きさは縦横27ミリで、それぞれに獅子の顔の文様「獅噛文(しがみもん)」が施されている。年代は5世紀後半から6世紀初めごろとみられる。

 発掘調査は県食肉センターの拡張に伴い、2017年度から2年間行われ、帯金具は遺跡を構成する前方後円墳の石室から出土した。人骨のそばで見つかっており、被葬者が着用していた可能性が大きいという。

 前方後円墳の全長は約19メートルと小規模だが、出土例が少ない鉄製馬具なども見つかった。これらは韓国の古墳でも出土例があり、古墳時代に詳しい名古屋市博物館の藤井康隆学芸員は「朝鮮半島との交流で重要な役割を果たした有力者が当時、多久にいたことが裏付けられる」と話す。

 帯金具などの出土品は多久市郷土資料館で9月1日まで公開している。月曜日(12日を除く)と13日は休館。問い合わせは資料館、電話0952(75)3002。

このエントリーをはてなブックマークに追加