「認めないと終わらないよ」「罪と向き合え」―。犯人と決めつけ、自白を強要するかのような言葉を浴びせられたという女性の手記を読んで、背筋が凍る思いがした。もし自分がまったく身に覚えのないことで突然、警察に取り調べを受けることになったら…◆事件は戦後の混乱期の話ではない。つい最近のことだ。松山市内でタクシー内から現金などが盗まれた窃盗事件に絡んで20代の女性が先月、誤認逮捕された。手記はこの女性が弁護士を通じて今月1日に公表したのだった◆その内容を読むと、だれもが恐怖のドン底に落とされるかもしれないと思い知らされる。ドライブレコーダーに写った犯人を女性と誤信したことが原因だが、思い込みによる捜査は女性の主張にはまったく耳を傾けず、取り返しのつかない結果を招いた◆恐怖と屈辱。「耐えきれず、やっていないことを認めてしまうかもしれないという不安な気持ちがあった」。そう女性は書いている。やっていないことを「自白」してしまうのはなぜか。多くの冤えん罪事件がそうであるように、そこに「密室」での取り調べがある◆誤認逮捕は佐賀でも過去に起きている。「手錠をかけられたショックは忘れることができない」。生涯消えることのない心の傷を負わされた女性が求めているのは再発防止への具体策の公表である。(丸)

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