九州新幹線長崎ルートの未整備区間について「フル規格が適当」とする方針を決定した与党検討委員会=東京・永田町の衆院第2議員会館

 佐賀県と与党。互いが見せた異例の対応が不協和音の大きさを際立たせた。九州新幹線長崎ルートの未着工区間の整備方式に関し、「フル規格が適当」との見解をまとめた5日の与党検討委員会。非公開の会合後、いつも記者団の取材に応じる山本幸三委員長は無言を通した。一方、「議論の門戸は閉ざさない」という政治スタンスを貫いてきた山口祥義知事は「会えば意味を持つ」と山本氏との面会に難色を示した。

 

■委員長無言「佐賀への配慮」

 山本氏が記者団に口を閉ざしたのは「佐賀への配慮だ」と委員の一人は話す。自ら佐賀に出向き、最初に検討委の方針を伝えることで誠意を示そうとしているとみる。検討委の会合に先立ち、山本氏は山口知事に電話をかけている。山口知事は「中央からの押し付けがあってはならない」とけん制したことを明らかにした。

 これまで原則、誰とでも会談に応じる政治姿勢で臨んできた山口知事。表向きは日程調整ができないという理由を挙げつつも「(山本氏と)会うこと自体が意味を持つ」と意識的に面会を避ける発言を繰り返したことに、県職員の中にも驚きが広がる。

 県幹部が知事の意図を解説する。「知事は検討委に3回呼ばれ、フルは駄目だと伝えた。それにもかかわらず、フルしかないという結論はあり得ない」と検討委の対応を批判し、「今回は議論の門戸がどうこうの話ではない。山本氏と会えば、『フルに向けた協議の1回目』に応じたという意味を持ってしまう」。

 知事と会えない山本氏は6日に県議会の桃崎峰人議長を訪ね、フル規格の方針を伝える。桃崎議長は「議会にはさまざまな意見がある。方針への賛否は別として説明は受ける」と話す。

 ただ、長崎ルートの整備問題を扱う県議会特別委員会の石倉秀郷委員長は「今回は日程調整がつかない」という理由で会談を断った。自民会派の県議の一人は「地元に説明したというアリバイを検討委に与えるのを警戒したのだろう」と石倉氏の対応を分析し、「今後は県議会としても難しい局面を迎える」と話した。

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