「近頃、どうもおかしい」。この暑さである。夏がめぐるたび、同じような恨み節を繰り返してばかりいる◆気象エッセイストの倉嶋厚さんによると、「近頃、どうもおかしい」と昔から言われてきたのが「若者」「言葉」、そして「天気」だとか。気候は長いサイクルでゆっくりと移ろい、その時代の常識に合わない現象も出てくる。生活様式の変化とともに災害の発生パターンも変わると、それが余計、異常気象に思えてしまうらしい◆在日外国人に日本の夏について意識調査をしたところ、暑いイメージがある中東・アフリカ出身者の8割超が「出身国より暑い」と答えたそうだ。日本の暑さが赤道直下の国々を上回ったといわんばかりだが、湿気の多い特有の気候が一層暑く感じるのだろう◆これも倉嶋さんからの受け売りだが、明治時代、軽井沢など名だたる避暑地を切り開いたのは、日本の暑さに驚いた遠来のヨーロッパ人たちだった。外国人が日本の夏に手を焼く姿は昔も今も変わらない◆「災害級」と呼ばれる極暑がなお続く。〈念力のゆるめば死ぬる大暑かな〉(村上鬼城)。先人たちも同じようにあえいできた。いつの世も「近頃、どうもおかしい」と首をかしげつつ、うまく順応する知恵を絞ってきたに違いない。こんな気休めを吐くしか、暑気を散じる手立てもないのだが。(桑)

このエントリーをはてなブックマークに追加