〈ガキらはどんなにたべたいであろう しるのしたたる まっかなスイカにむしゃぶりついて はらをてんてんたたくまで〉。闘う農民詩人といわれた伊藤和やわらの「すいか」。日本の農村が極度の貧窮に追い込まれていた昭和初めのころの詩である◆お月さまのように大きくなったスイカ。けれども子どもたちには食べさせることができない。畑でとれたものは全部お金にかえなくてはならぬ。それが当時の農家の生活だった。〈くるまにつんで とおくのまちへ あせをながしてうりにゆく〉のだ◆スイカが全国に広まったのは江戸時代の後期という。それ以前の文禄の役のころ、肥前・名護屋で開かれた仮装大会で秀吉が「ウリあきんど」に扮ふんした話がある。そういえば子どものころはスイカと並んでウリをよく食べていたことを思い出した◆〈あっちにごろり こっちにごろり〉。畑に大玉のスイカが実った光景は昔と変わらないだろう。家庭菜園で一つ二つと数えて楽しみにしている人も多いかもしれない。幸い今は手軽に口にできるスイカだ◆8月に入り、本紙の天気予報は赤い太陽のマークがずらり。しかも最高37度の表記が並んでいるのを見てぎょっとした。スイカは疲労回復に役立つミネラルやビタミン類が豊富という。その清涼感とたっぷりの水分で熱中症を免れればありがたい。(丸)

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