イソップ童話「うさぎとかめ」を読んで、4歳のかなこちゃんが詩を書いた。〈かめさんは えらいね〉と一生懸命歩き続けた勝者をほめた後、こう続ける◆〈でも うさぎさんもえらいよ/だって ちゃんと おひるねしてたでしょ/かなこが おひるねすると/おかあさん/すっごくほめてくれるもんね〉。休息も時には大事。努力は美徳という処世訓が、必ずしも現代に通用するとは限らない、と詩人の川崎洋さんが書いている(『感じる日本語』)◆人生の長い走路では、とりわけ終盤のペース配分が難しい。足腰の衰えで65歳以上の5人に1人が、年に一度は転倒している、と専門誌が伝えていた。高齢者が救急搬送される原因の8割が転倒というから深刻である◆〈年というものは畳の上で転(こ)け〉(小島祝平)と川柳にもある。勝手知ったる自宅では、動作がつい速くなり、バランスを崩したり、ちょっとした段差でつまずいたりするから要注意。認知症専門医の岩田誠さんが勧めるのは「どっこいしょ」。そうつぶやいて立ったり座ったりすれば、自然に動作が遅くなる。「急がない」工夫も時には大事。年齢とともに「どっこいしょ」が自然に漏れるのは、巧みな知恵かもしれない◆ゴールに勝ち負けはない。歩き通しでも、お昼寝してても、「どっこいしょ」でもう一息、もう一息。(桑)

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