学生から、いつもネガティブなメッセージばかりを指摘する好感度の低い先生について相談がありました。確かに昔型の医療者は患者さんのネガティブな面ばかりを指摘し、その結果、患者さんは落胆し、症状は増悪、その診療所に足が向かなくなります。どんな人でも自尊心を傷つけられることが、どれだけつらい体験になるか、明らかでしょう。欧米の大学に勤務していた時、非常に驚いたことは、学生たちの発言に対して、「Perfect」「Good」「Excellent」などの褒め言葉をシャワーのようにかけていたことです。

 ネガティブな面を見ようとするのは、日本人の習性なのでしょうか? 私はどんな患者さんにもポジティブな面を見つけて、そこに光を当てます。病気になると、自尊心が傷つき、自信がなくなり、周囲からの評価を気にするようになり、その場に行けなくなっていきます。さらに、自分の言葉が相手を傷つけるのではないかと不安になり、人の中に交われなくなります。発言している当の先生はそのことに気づかず、相手の欠点や失敗ばかりを指摘していきます。自分が優位に立ちたいのか、相手にダメージを与えることに快感を覚えているのでしょうか? 個人的な好き嫌いによって、人を区別して話しているのでしょうか?

 人を元気にさせる「好かれる医療者」はどんな人にも、無意識に患者さんのポジティブな面に光を当て、褒めてあげることによって、よりよい人間関係が維持できることを知っています。その次に、治療を必要とする問題点にフォーカスを当てて、そのプロセスが病気の改善につながることをよく理解されています。「嫌われる医療者」は、自分の感情に左右され、突然、患者さんに怒ったり、欠点や問題点ばかりを指摘されたりしているように思えます。

 日本人がもっと元気になるには、さまざまな分野において、子どもの頃から、人を元気にする褒め言葉をかけてあげることが大切ではないでしょうか。(九州大学キャンパスライフ・健康支援センター教授・副センター長・統括産業医 佐藤武)

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