高校演劇は厳しい。例えば野球部は年に何回も大会があるのに、演劇部は1回だけ。夏から準備して秋に1時間の上演…。劇作家平田オリザさん原作の映画「幕が上がる」は、地方の県立高校の演劇部が全国大会を目指す物語◆台本作りに悩んだヒロインが仲間と全国大会を見学に出かける。わずか20分で舞台転換を済ませる出場校の統率力。笑いあり、音楽ありで観客を引き付けるステージ。「こんなレベル、目指してたんだね」と思いを新たにする◆彼女たちが夢見たその大会、全国高校総合文化祭がきょうから県内各地で始まる。演劇だけでなく、吹奏楽や合唱、美術、将棋など23部門に約2万人の高校生が集う「文化部のインターハイ」である◆県内で文化系の部活に所属する高校生は6千人近い。すべてがこの祭典に関わるわけではないが、初の県内開催を機に、これまでなかった部活動も組織され、より多彩になった。全国の豊かな才能に触れ、若い力がさらに躍動するきっかけになればいい◆映画のラスト。ヒロインの独白は大会に臨むすべての高校生の思いを代弁するようでもある。「勉強も進路も、恋や友情だって全部現実です。でも、それ以上に今、目の前にある舞台こそが何よりも現実で、何よりも今で、何よりも私自身なんです」。一人ひとりが輝く夏。さぁ幕が上がる―。(桑)

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