チョウセンアサガオ

 江戸時代末期、紀伊の国(現在の和歌山県)の外科医である華岡青洲(1760~1835年)は20年の歳月をかけて全身麻酔薬「通仙散」を完成させ、多くの人の命を救いました。これは世界初の全身麻酔の成功例であり、この薬の主成分として使われた植物がチョウセンアサガオです。

 花の形はアサガオに似ており、色は白。インドではダチュラ、中国では曼陀羅華(まんだらげ)という植物名を持ちます。葉と種子は、鎮痛、鎮痙(ちんけい)、鎮咳剤(ちんがいざい)として胃痛、ぜんそくなどの治療に用いられる一方、全草に毒があり、とりわけ青洲が用いた種子部分は使い方を誤ると理性を失い発狂状態に陥る猛毒です。それは別名「キチガイナスビ」という異名を持つほどです。薬と毒物は表裏一体、改めてその事実にうなずかざるを得ません。(中冨記念くすり博物館)

このエントリーをはてなブックマークに追加