天体望遠鏡

 「武雄鍋島家洋学関係資料」の中に、ケプラー式屈折望遠鏡があります。屈折望遠鏡は対物レンズ、接眼レンズ双方に凸型レンズを使用するため高倍率、広視野ですが、見える像は倒立逆像(上下左右反転)になります。色消しレンズを用いていることから、単玉の国産遠眼鏡と比べると色収差(色ずれ)による像のにじみがなく解像力に優れ、像も明るく見えます。現在でも、50メートルほど先の1・5センチ角の文字が読み取れるほど鮮明です。砲術訓練や長崎警備などに用いるために輸入されたものとも考えられます。

 鏡筒には「A van Emden Amsterdam」と刻まれ、オランダのアブラハム・ファン・エムデンが創業した会社(1824~81)が製造、販売したものであることが分かります。折り畳み式の三脚が付属した卓上型地上望遠鏡ですが、月、惑星などの天体観測用としても利用できます。黄銅製の鏡筒の長さは4段階に調節可能です。

 残念ながら伝来時期は不明ですが、「長崎方控 二」の天保10(1839)年2月の注文品には「ニウトンノ星目鏡、曇りとれ申哉、吟味之事」とあります。凹レンズを用いるニュートン式反射天体望遠鏡を入手していたことをうかがわせる記録です。他にも多くの購入記録があり、かつ距離計測機能付き望遠鏡など複数の欧米製望遠鏡が残されていることから、さまざまな種類の望遠鏡を収集しようとしていたようです。

 いくつかの望遠鏡は、27日より開催予定の「すごいぞ!武雄~見たい!知りたい!学びたい! 武雄の蘭学~」で展示されます。(武雄市図書館・歴史資料館 一ノ瀬明子)

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