梅雨明けの声に浮かれて、きのう車で外に出ると、ラジオから「夏休み子ども科学電話相談」が流れてきた。「食虫植物もうんちしますか?」。植物に消化器がないことを知ってしまうと、こんな質問は思いつかない。大人になるのはつまらないものである◆子どものころ絵本で読んだ『ガリバー旅行記』は小人や巨人の国を巡る楽しい物語だった。原作には続きがあり、尾び籠ろうな話ながら、人間の排はい泄せつ物の研究所が登場する◆政府転覆の陰謀を摘発する方法を研究していた教授は、排泄物を徹底的に観察すれば、本人の思考や計画を判断できるという。〈便器にかかっている時ほど真剣で、思いつめ、精神統一を果たしている時は他にないからである〉(平井正穂訳)。大人にならないと分からない真理もある◆唐津市鎮西町の県立名護屋城博物館で、縄文から中世にかけてのトイレの歴史をひもとく企画展が開かれている(9月1日まで)。大名の陣跡から見つかった茶室の庭の「荘かざり雪隠せっちん」は、客人に見せてもてなしの心を伝えるもので、実用的ではなかったそうだが、戦国武将たちが「瞑めい想そうの空間」で権謀術数をめぐらす姿を、つい想像してしまう◆会場には夏休みの子どもが目立つ。自由研究にまとめるならお早めに。先人も詠んでいる。〈雪隠を戻ればもとの物わすれ〉―これは大人の話か。(桑)

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