準々決勝・佐賀北-伊万里農林 9回表佐賀北2死一、二塁、伊万里農林の吉田聖弥投手(中央)のもとに集まる村上龍生捕手ら=みどりの森県営球場

 「伊万里農林」のユニホームで出場する最後の夏。粘りの投球を続ける2年生左腕・吉田聖弥をバックが懸命にもり立て、ベスト4まであと一歩に迫った。だが、1点を守り切れなかった。「自分がうまくリードしていれば」。3年生捕手の村上龍生は、マウンドを守り続けた後輩の心情を思いやり、涙が止まらなかった。

 吉田は降雨ノーゲームとなった前日の試合で6失点と打ち込まれた。この日は、最速137キロの速球をセーブして、120キロ前後のストレートと90キロ台の変化球を駆使し、「打たせて取る投球」を心掛けた。

 緩急でかわす投球には理由があった。「力を抑えていたというより、かばって投げていたんです」。試合後、村上は明かした。前日、吉田から腰の痛みを打ち明けられていた。本調子には程遠い状態ながら中盤以降、得点圏に走者を置いた場面では、ギアを入れ替えて130キロ台の速球を投げ込んできた。勝ちたい気持ちがミット越しに伝わった。

 「農林」の名を一日でも長く残そうとベンチ入りの2、3年生15人が一丸となり、前評判を覆して3年ぶりに臨んだ準々決勝だった。「チームみんなが『まだやれた』と思っていたと思う。もう一回勝って、地域の方に恩返ししたかった」と村上。最後の夏、少しの悔いも残った。

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