憲法改正に関するツイッターの投稿が表示されたスマートフォンの画面。参院選では、憲法改正に関する論戦は低調だ

 「参院選の結果次第で憲法がどうなるか考えて」「誰のための改正か」。佐賀県中部の自営業女性(50)は、スマートフォンで憲法改正に関するツイッターの単文を読み込み、他の人にも読んでほしい投稿はリツイート(転載)を繰り返した。憲法への関心を高めようと、インターネット上だけでなく個人的に呼び掛けて勉強会も始めた。

 憲法や政治に全く興味がなかった。転機は2017年。衆院選での集団的自衛権の行使容認などを巡る論議で「憲法違反」を何度を耳にし、漠然とした不安を抱いた。ネットで自民党の改憲案の問題点を示すサイトを見て、「イメージしてきた憲法と変わる気がして『ヤバい』と思った」。

▼反応の鈍さ 

 改憲に対する疑問を自らツイッターで発信した時だった。「頭悪いんじゃないの」。匿名で中傷する書き込みが続き、「監視されているようで、改憲への批判を封じ込めているようだ」と不気味に感じた。

 参院選でもSNSを通じて仲間内に改憲に関する報道を紹介しても、グルメの話題などと違ってほぼ反応がない。「誰もが十分理解せずに憲法が変わってしまうのはおかしい」。周囲の反応の鈍さに、関心がなかったかつての自分を重ね合わせつつ、議論を尽くさないまま改憲へ手続きが進むのではと懸念を募らせる。

 安倍晋三首相は、2020年の改正憲法施行の考えを打ち出しており、参院選では、憲法改正に前向きな「改憲勢力」が国会発議に必要な3分の2以上の議席の維持をうかがう。

 一方、佐賀新聞の有権者100人アンケートでは、参院選で重視する政策に「憲法改正」を挙げたのは1割余り。改憲勢力が3分の2議席を確保する意味合いについて4割近くが「分からない」と回答し、関心度の低さが浮かび上がる。

▼触らぬ神に 

 「また実現しないのではないか」。県西部の元自衛官の男性(75)は、憲法9条への自衛隊明記案に賛否が二分する世論の動向に嘆息する。現役の頃から国際情勢などを踏まえて改憲が必要と考えてきた。

 安倍政権発足後、首相が改憲を訴えるたびにクローズアップされ、近年の国政選挙では自民党が公約に盛り込んできた。改憲勢力が国会発議に必要な議席を獲得し議論本格化が見込まれたが、森友・加計問題などを巡る与野党の激しい対立を背景に衆参両院の憲法審査会での論議が深まらない経過をたどり、先の通常国会では5月に1回、衆院で開かれただけだ。

 参院選でも、安倍首相が改憲を声高に訴えるのとは対照的に、候補者の憲法への言及は少ないように男性には映る。「憲法がこれまでと同じ『触らぬ神にたたりなし』になってしまう」。かみ合わない論戦や見えない本気度にもどかしさを感じている。      =おわり

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