「皮膚がカサカサで困っています」とか「口の周りがかぶれるのですけど」という相談を生後5~6月頃の赤ちゃんのお母さんからよく受けます。

 赤ちゃんの肌は柔らかくはじけるようで、「カサカサなんて信じられない」と思われることでしょう。しかし、赤ちゃんがみずみずしいのは、細胞の中の水分が大人に比べてずっと多いためであって、実は、皮脂をつくる力は十分ではありません。外界からの刺激物の侵入を防ぐバリアである角質層の発達も十分ではなく、アレルゲン、化学物質、病原菌などが侵入しやすいのです。

 皮膚に対する刺激物質を上手に処理せず放置しておくと、繊細な赤ちゃんの肌は容易に炎症をおこし、いわゆる乳児湿疹を起こします。乳児湿疹の部位からは目に見えないレベルの非常に微細な食物抗原(ピーナツや鶏卵など)が侵入しやすく、食物アレルギーを発症させる要因となることが近頃わかってきました。とても興味深いしくみですが、口から入る食物抗原はアレルギーを抑制する方向に作用し、皮膚を通して入った食物抗原はアレルギーを増強するように作用します。したがって、乳児早期に皮膚の状態を良好に保つことと生活環境をきれいに保つことはとても大事なのです。

 スキンケアの基本は①皮膚の清潔、②皮膚への刺激の減少、③保湿によるバリア機能の強化の3つです。赤ちゃんはぬるめのお湯で毎日入浴をさせ、香料や添加物の少ないせっけんを手で泡立てて洗い、その後汚れと一緒にせっけん分をよく洗い流しましょう。せっけんで失われた皮脂は保湿剤で補います。保湿剤には油系(精製ワセリン)と水系(クリーム、ローション、泡剤)とがあります。ベタベタ感が異なりますので、肌の乾燥の程度や季節により上手に使い分けて下さい。赤ちゃんの肌に悪い刺激となるのは、よだれや口の周りについた食物成分、汗、ほこり、その他もろもろのよごれです。硬い衣服でこすれることや強い直射日光も皮膚の刺激因子となります。きれいな皮膚を保つことは赤ちゃんとお母さんの毎日を幸せにします。

 

 

浜崎 雄平(はまさき ゆうへい)
佐賀整肢学園 からつ医療・福祉センター顧問。佐賀大学名誉教授。
1948年、鹿児島県日置市生まれ。九州大医学部を卒業し、テキサス大やオクラホマ大研究員などを歴任。
84年から佐賀医大(現佐賀大学医学部)小児科講師として勤務し、00年に同大小児科学教授就任、09年から医学部長を兼任する。
14年から現職。専門分野は小児の呼吸器/循環器疾患,アレルギー疾患。

 

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