自動操舵装置のついた大型トラクターを手にする古賀洋一郎取締役=神埼市、アグリベースにいやま

国内ではまだ珍しい、自走する自動田植え機を使い行われた田植え=神埼郡吉野ヶ里町

 神埼市の農業法人「アグリベースにいやま」が、大規模な水田を対象にしたスマート農業の実証実験に取り組んでいる。小型無人機ドローンによる高精度な稲の生育評価をもとにヘリコプターで濃淡を付けた施肥を行うなど、最新技術を組み合わせた一貫体制で大幅な省力化、収益増を目指している。

 農業技術を研究している国の組織・農研機構が、ロボットや人工知能(AI)の活用を農業現場で実証実験する全国69件の一つに選ばれた。

 アグリベースにいやまはJAさがの子会社で、神埼市と吉野ヶ里町で農家から約67ヘクタールを受託し、米・麦・大豆という土地利用型の農業を展開している。一部、中山間地も含んでいるため、多彩な実証データの採取が可能となる。

 実験では、生育段階に応じ、自動運転の農業機械をはじめ、さまざまな先端技術を効果的に組み合わせる。

 中でも注目されるのは、「リモートセンシング」という技術だ。生育した水田を特殊なカメラを搭載したドローンで撮影。画像を解析し、稲の茎のばらつきや穂の実り具合などの生育状況を「見える化」して地図上にカラーで示す。このデータをもとに、無人ヘリコプターで必要な肥料を必要な場所に細かく散布する。

 収穫する自動運転コンバインは5メートルおきに収量を測定できるため、このデータと突き合わせて、効果の検証や次年度への対策なども立てられるという。

 実証は2年間で、米麦の収量1割増、労力の1割減、収益の2割増が目標だ。

 農研機構が開発した自走する田植え機を使い、田植えは終えた。今後、水深や水・地温など測るセンサー(携帯に送信可能)を30カ所、気象観測装置を4カ所、固定カメラ3カ所も設置予定で、田んぼの見回りの手間が大幅に省けるという。

 同社の古賀洋一郎取締役は、農家の高齢化で受託面積が急速に増加していると指摘、「大型農機で能力が高く、有効活用すれば、既に限界に達している受託面積を拡大できそう」と期待する。

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